「忘れない」祈りに包まれる奥尻島 北海道南西沖地震から31年

AI要約

北海道南西沖地震から31年が経ち、奥尻島では被災者への祈りが捧げられた。

慰霊碑での法要や子どもたちの祈り、遺族の思いなど、被災地の悲しみと諦めない決意が描かれた。

慰霊碑のロウソクで島の形を表現し、犠牲者の魂が帰ってくるようにと、被災地の人々が長年続けていく決意を示した。

「忘れない」祈りに包まれる奥尻島 北海道南西沖地震から31年

 死者・行方不明者230人が出た北海道南西沖地震は12日、発生から31年を迎えた。午後10時17分の発生直後に津波が襲い、被害が最も大きかった奥尻島(北海道奥尻町)は祈りに包まれた。

 正午、防災無線でサイレンが流れると、島のあちこちで黙禱(もくとう)が捧げられた。島南端部にある青苗(あおなえ)小学校(児童数22人)では、子どもたちが手を合わせて祈った。

 午後6時前、津波で被害を受けた初松前(はまつまえ)地区では海辺そばの慰霊碑前で法要が営まれた。祖母ら親族6人を亡くした遺族会長の阿部元大(もとひろ)さん(62)は「多くの犠牲が忘れられないように、長く続けたい」と語った。

 津波襲来後に火災が発生し壊滅的な被害となった青苗地区。島全体の犠牲者198人の名前が刻まれた慰霊碑「時空翔(じくうしょう)」前では午後7時、ロウソクで島の形が浮かび上がった。長年続けてきた制野征男さん(80)は「昨年で終わりにしようかと考えたが、ここを目指して犠牲者の魂がまっすぐ島に帰ってこられるように続けます」と話した。(野田一郎)