旧統一教会に「賠償求めない」念書は無効 高額献金、最高裁が初判断

AI要約

 高額献金をした元信者の長女が教団側に賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁が初めて判断を示し、元信者が作成した念書を無効と判断した。審理は東京高裁に差し戻されることとなった。

 この訴訟では、長女が母親を不安にさせて献金させたと主張し、教団と信者に賠償を求めているが、一、二審は念書を有効として訴えを退けていた。

 差し戻し審では、信者の勧誘の違法性が取り上げられ、教団の責任や組織的な関与が争点となる見通し。

旧統一教会に「賠償求めない」念書は無効 高額献金、最高裁が初判断

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に高額献金した元信者(故人)の長女=60代=が、教団側に賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は11日、元信者が作成した「教団に賠償を一切求めない」とする念書を「無効」と判断した。その上で、献金の勧誘に違法性があったかを検討させるため、審理を東京高裁に差し戻した。

 教団の献金をめぐって最高裁が判断を示したのは初めて。教団への献金で、こうした合意書を取り交わすケースはほかにもあり、同種訴訟にも影響する可能性がある。

 この訴訟では、長女が「『献金しないと不幸になる』と不安をあおって母親に献金させた」として、教団と、献金の勧誘をした信者に6580万円の賠償を求めている。

 一、二審はいずれも、念書を「有効」として教団への賠償請求はできない、と判断。信者の勧誘についても違法な点は認められないとして長女の訴えを退けていた。

 差し戻し審では、信者の勧誘の違法性が審理されるが、この日の第一小法廷判決が「教団に賠償請求しない」とする念書を無効としたことで、教団の責任も問う余地が生じており、信者の勧誘に、教団の組織的な関与や使用者としての責任があったかどうかも争点になる見通し。