中国発「カンカンダンス」に小学生から芸能人まで夢中 巨漢アーティストの3年前の曲が日本で大流行した理由

AI要約

最近、TikTokなどのショート動画で大流行している「カンカンダンス」について紹介。

このダンスの元ネタは中国の歌で、日本で爆発的なヒットとなった経緯。

中国では広場ダンスの一環として定着し、広範囲に知られるようになっていった。

中国発「カンカンダンス」に小学生から芸能人まで夢中 巨漢アーティストの3年前の曲が日本で大流行した理由

 最近、TikTokなどのショート動画で大流行している「カンカンダンス」をご存じだろうか。一度聞いたら忘れられない中毒性のあるメロディーに軽快なリズム、ユニークな振り付けが日本の若者やキッズをとりこにして“鬼バズり”状態となっているのだ。小中学生を子に持つ親は、動画を見ればこの振り付けに見覚えがある人は多いはずだ。

 子どもだけではない。5月から6月にかけて香取慎吾やチョコレートプラネットなどの芸能人も「踊ってみた」動画を次々と公開し、一気に拡散。とくに早見優と松本伊代がミニスカ姿で太ももをあらわにして踊る動画はニュースになったほどだ。ほかにも、居酒屋店員や女子高生、地下アイドルや会社員が集団で踊る動画が大量に投稿され、空前のブームとなっている。

 このカンカンダンス、実は、元ネタは中国の歌なのだ。原曲は2020年にリリースされたものだが、なぜ3年以上の時を経て日本で爆発的なヒットとなったのか。中国事情に詳しいライターの広瀬大介氏は言う。

■135キロと110キロの巨漢

「原曲の曲名は『扛過槍 放過羊』(カングオチアン ファングオヤン)と言い、『銃を担いだし、羊を放牧したこともある』という意味になります。物騒な曲名ですが、歌詞は『恋愛は戦場で、失恋の痛みなど怖くはない。道に迷って身体中いくらでも傷だらけになったっていいじゃないか。男らしくいこう』みたいなことが書かれていて、恋の応援歌に近い内容となっています。歌っているのは半噸兄弟(バンドゥンションディー)という男性3人組で、グループ名の由来“半トン”は、結成当時メンバー2人の体重が135キロ、110キロという巨漢だったことから。彼らはSNSや路上ライブで徐々にファンを獲得し、人気アーティストとなりました。その名が全国区となったきっかけは、2019年に中国国営放送・CCTVの音楽オーディション番組に出演し、週間&月間チャンピオンに輝いたことです」

「扛過槍 放過羊」がリリースされた後、すぐに中国の人気DJ・偉然(ウェイラン)が、同曲のダンスリミックスバージョンを発表。これが大ヒットを決定づけた。21年頃に、宴会などでダンスパフォーマンスを行う中国の中年おじさんグループ「80後逐夢男団」(80年代生まれの夢追う男たち)が、レストランの開店イベントで同曲を使ったダンスパフォーマンスの模様を中国版TikTokに投稿。彼らが考案した振り付けが拡散し、カンカンダンスの発祥となったと見られている。

「『80後逐夢男団』が最初に投稿したカンカンダンスの動画はこれまでに4億以上の再生回数を記録しています。その後、中国のSNSで拡散していき、若者を中心に徐々に話題を集めていったのですが、各地の『広場ダンス』で採用されていったことも大きいでしょう。中国では、公園や広場などで健康体操の一環として中高年の女性たちが音楽に合わせて集団でダンスをする『広場ダンス』が有名です。そこでこの曲と振り付けが定番となっていき、幅広い年代で知られるようになっていったのです。曲もダンスもはっきり言ってダサいのですが、中国の若者からは『ダサいけど一周回ってかっこよく思えてくる』という感想も多く、12年に世界的に流行した韓国アーティスト・PSYの『江南スタイル』みたいだ、というコメントもありました」(広瀬氏)