岸田首相の発言には椅子から転げる落ちるほど驚いた…青山繁晴・参院議員が語る「裏金」と「特権意識」の問題点

AI要約

自民党の派閥による政治資金パーティーの裏金事件で、政治資金規正法改正案が可決・成立し、岸田首相の評価と有権者の反応が対立している。

事件の発端は昨年11月の報道であり、裏金問題が浮上し世論が激昂。識者の間でも議論が分かれ、混乱が続いている。

自民党議員の青山氏は岸田首相の対応を厳しく批判し、特権意識についても指摘している。

岸田首相の発言には椅子から転げる落ちるほど驚いた…青山繁晴・参院議員が語る「裏金」と「特権意識」の問題点

 自民党の派閥による政治資金パーティーの裏金事件で、政治資金規正法改正案が6月19日に参院本会議で自民・公明などの賛成多数で可決、成立した。岸田文雄首相は記者団に「再発防止や透明性の向上の観点から実効性のある制度となった。大きな一歩だ」と自画自賛したが、「これで裏金事件が浮き彫りにした問題点が全て解決された」と受け止めた有権者は少ない(全2回の第1回)。

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 改めて振り返ると昨年11月、大手メディアが一斉に報道を開始したのが発端だった。自民党の5派閥が政治資金パーティーを開いて収入を得た際、合計約4000万円が政治資金収支報告書に記載されていなかったため大学教授が告発状を提出。東京地検特捜部が関係者に事情聴取を進めていることが分かったのだ。担当記者が言う。

「派閥がカネを吸い上げ、所属議員に還流されると裏金に化けるという実態が明らかになると世論は沸騰しました。特にSNS上では様々な怒りの声が投稿され、まさにカオスという状態になったのです。またコメンテーターや政治評論家と言った識者の間でも、『不記載が問題であり、記載すればよかっただけ』と事態を重く見ない意見、『政治家のサイフは1円単位まで公開すべき』と政治資金の透明化を求める声、『政治資金パーティーは企業献金の隠れ蓑。諸悪の根源は企業献金』などといった指摘が入り乱れ、今に至るまで収拾が付いていません」

 自民党の参議院議員である青山繁晴氏は、裏金事件が発覚してから常に強い怒りを表明し、岸田首相の対応も厳しく批判してきた。青山氏は「裏金事件を巡る議論が混乱しているとか、識者の間でも見方が分かれているという(担当記者の)指摘は、申し訳ないけれども日本のメディアに共通する手垢のついた発想だと思います」と言う。

「法的には政治資金収支報告書の未記載が問題となっており、いわゆる形式犯に該当します。しかし、裏金事件が掘り起こした問題は非常に巨大であり、今も深刻な議論が沸き起こっているのはむしろ当然でしょう。そしてぼくは個人攻撃をしないと決めているのですが、相手が総理大臣ですからありのままに申します。3月に開かれた衆院政治倫理審査会での岸田総理の発言を耳にした時、椅子から転げ落ちるほどびっくりしました」

 青山氏が《椅子から転げ落ちるほど》驚いたという岸田首相の発言は、「なぜ問題が生じた際に、政治家自身の責任が十分に果たされないのか。政治は特別という特権意識があったならば是正し、改革を進めなければならない。私自身が先頭に立つ」というものだ(註)。

「岸田総理はご自分が特権を持っていると思っているから、あんな発言をしたのでしょう。ならば総理をお辞めくださいということです。国会議員が特権を持つという意識はぼくにはゼロです。国民の代理人がなぜ、特権階級か。裏金事件が明らかにした問題のうち、政治家の特権意識は極めて重要なポイントです。ただ岸田総理は特別に傲慢な人間というわけではありません。至って普通の人です。そんな総理が『特権意識』という言葉を口にしたのですから、国会議員の多くは野党議員も含め、実は特権意識を持っているという事実を浮き彫りにしたと言えます。本当は逆に、国民のためには死ねる覚悟を持っていなければなりません」