東京女子医科大の医師6人、文部科学省に理事会への指導求める…相次ぐ問題発覚で「限界」

AI要約

東京女子医科大の教授ら有志の医師6人が文部科学省に要望書を提出し、大学の理事会に適切な指導を求めた。

同大では不正給与や入試問題などが浮上し、職員の退職や医療の支障が発生していると指摘されている。

文科省側は第三者委員会の調査結果を見守る姿勢を示し、現場の医療提供が危機にあることを認識するよう求められている。

 東京女子医科大(東京都新宿区)の教授ら有志の医師6人が2日、文部科学省を訪れ、大学の理事会に対し、適切な指導を行うよう要望書を提出した。

 同大を巡っては、同窓会組織「至誠会」の元職員に勤務実態のない約2000万円の給与が不正に支払われた疑いで、3月に関係先として警視庁の捜索を受けたほか、医学部推薦入試や教職員の昇格・採用に寄付額が考慮されていた問題などが浮上している。

 要望書では、一連の混乱で、医師や看護師らの退職が相次ぎ、高度な手術の実施などに支障を来していると指摘。患者やその家族との信頼関係の維持も難しくなり、職員の心は「限界に達している」として、理事会への指導を求めた。同大の岩本絹子理事長の辞任、解任を求める教職員や卒業生の署名が、2017筆に上ったことも盛り込んだ。

 提出後、報道陣の取材に応じた同大の新浪博教授や本田五郎教授によると、文科省側は高等教育局の課長らが対応。要望に対し「行政の介入には限界がある」として、同大が4月に設置した第三者委員会による調査の結果を見守る意向が示された。

 本田教授は、「現場が萎縮(いしゅく)して十分な医療が提供できない危機にある。医療の安全は組織で守る必要があることを行政側に知ってほしい」と述べた。先月26日の大学理事会で岩本氏の退任を求めたが、理事会からは署名が一定数にとどまるなどとして、拒否する回答が今月1日に届いたという。