歯に衣着せぬ発言で人気 元明石市長の泉房穂さんが「ルソー」を語るワケ

AI要約

元明石市長の泉房穂さんがフランスの哲学者、ジャン=ジャック・ルソーについて最も尊敬する政治哲学者と語る理由について紹介。

泉房穂さんの率直な姿勢や行動力、そしてルソーとの共通点について考察。

泉房穂さんの活動や著書から見える、彼の哲学や政治への姿勢についての洞察。

歯に衣着せぬ発言で人気 元明石市長の泉房穂さんが「ルソー」を語るワケ

昨今、テレビでよく見る、元明石市長の泉房穂さん。主にフランスで活躍し、哲学者であり政治哲学者でもあったジャン=ジャック・ルソーのことを「最も尊敬する政治哲学者」と語り、著書でも誌幅を割いている。なぜ、泉さんはルソーを語るのか。小説家、榎本憲男氏によるコラムをお届けする。

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■思想家のジャン=ジャック・ルソーのことを「最も尊敬する政治哲学者」

 最近、テレビで泉房穂さんをよく見かける。かなり率直に物を言う人で、それが受けているんだろう。今回の衆議院補欠選挙の結果に対しても、あるテレビ局のデスクが「今回、自民党から流れた票はお灸を据えるためのものであって、これらはまた自民に戻る可能性がある」(大意)とコメントしたのに対して、「お灸じゃすまない」と猛烈に反論していた。

 泉房穂さんの紹介など必要ないだろうが、一応しておくと、国会議員を経て兵庫県明石市の市長となって辣腕を振るい、人口増、子育て支援の充実、財政の健全化などで実績を上げた。いまは、肩書弁護士として活動されているが、有名芸能事務所所属のタレントでもある。僕の個人的な関心としては「タコマネー」という明石市でのみ使える地域通貨を発行して市の経済を活性化させようとしたことが、自分の小説『エアー2.0』、そしてこれから出版される『エアー3.0』のテーマに関係するので、大変に興味をそそられた。

 さて、今年の初めに、泉房穂さんは『10代からの政治塾 子供も大人も学べる「日本の未来」の作り方』という本を出した。タイトルに「大人も」と入っているが、子どもに語りかける体裁で書かれ、いまの日本の政治のしくみを子どもらにやさしく解説することを狙った本である。この本の冒頭でかなりの分量を割いて、泉さんは思想家、ジャン=ジャック・ルソーについて語っている。そして、この部分、実は本書の中でかなり浮いている。それに、「私が最も尊敬する政治哲学者」などという告白はヤバくないだろうか、と僕などはつい心配をしてしまう。と同時に、なるほど泉さんらしいかも、とも思ったのであるが。

 ルソーという思想家は、そうとうに気性の荒い人だったようだ。カッとなってけんかをして言い過ぎ、かけがえのない人間関係を修復不可能なまでに壊してしまったことも多かったようだ。そういえば、泉さんは、明石市長時代に職員に対してものすごい暴言を吐き、その録音をメディアで流されて問題になったことがある。このへんは似ているかもしれない。

 それに泉さん、あれやこれやとルソーを持ち上げておられるが、全体的に“いいとこ取り”とルソーびいきが過ぎるのだ。ちょっと例をあげよう。