クルド人と過激ヘイト 「仮放免者にも就労を」 川口市で見えた外国人政策の課題【報道特集】
埼玉県川口市周辺で起きているクルド人へのヘイト行動の背景には外国人政策の問題がある。
クルド人の乱闘事件が発端となり、事件の映像がネットで拡散し不安や恐怖が広がる。
住宅街で行われたトルコ国旗を掲げたデモで不法滞在クルド人を追放する声が上がり、ヘイトスピーチとの対立が起きる。
東京に隣接する埼玉県川口市周辺には、中東から来た「クルド人」が3000人ほどいるとみられる。今あるトラブルをきっかけに、そのクルド人への過激なヘイト行動が起きている。問題の根幹には何があるのか?取材していくと、ローカルな問題ではなく、日本の外国人政策の課題が浮かび上がってきた。
(担当:報道特集・佐藤祥太)
■クルド人の「乱闘事件」で問題が急拡散
それは去年7月のある夜。川口市立医療センターの前にクルド人が集まりだした様子を、近くに住む市民が証言した。
市民の男性
「中東系の外国人と思われる方が、ここの救急医療センターの前に集まって大騒乱。日本語じゃない音声でわーわー言い合って」
クルド人同士の刺傷事件をきっかけに100人規模の乱闘騒ぎが発生した。警察が事態を収拾しようとしたが、救急搬送の受け入れは5時間以上ストップ。この事件では殺人未遂などでクルド人7人が逮捕された。
クルド人を見かけても「ああ、中東系の人がいるな」と考える程度だったという市民の男性は、この乱闘騒ぎを境に不安や恐怖を感じるようになったという。
事件の映像はネット上で瞬く間に拡散し、今も広がり続けている。「川口におけるクルド人」をめぐるネガティブな印象が広がり、事態は新たな局面に入る。
■「不法滞在クルド人は追放」住宅街に怒号が
ゴールデンウイークが始まる4月28日、日曜日。静かなはずの住宅街が異様な雰囲気に包まれた。
街宣車を先頭に、日の丸や旭日旗とトルコ国旗を手にした100人ほどがいた。周りには大量の警察官と「ヘイトはやめて」などと書かれたカードを手にした多くの人々が集まっている。
団体は“トルコとの友情をアピールする”という名目で行進を主催したという。だが、そこにこんな怒声が混じる。
デモ参加者
「トルコ国籍を騙った、クルド人犯罪を許さないぞー」
プラカードには「不法滞在クルド人は追放しよう」とある。反対する人々も声を張り上げる。
反対する人々
「差別をやめろ!ヘイトスピーチやめろ!」