名称に「解消」追加 改正子どもの貧困対策推進法が成立

AI要約

子どもの貧困対策推進法の改正案が可決、成立した。法の名称が変更され、将来の貧困を予防することが基本理念となった。

施行後は、ひとり親世帯の養育費受領率なども調査される。また、民間団体の活動支援にも財政措置が行われることが記載されている。

こどもの貧困対策に取り組む団体は法案の成立を評価し、政府のこども政策に関しても指摘を行った。

名称に「解消」追加 改正子どもの貧困対策推進法が成立

 子どもの貧困対策推進法の改正案が6月19日、参議院本会議で賛成多数により可決、成立した。名称に「解消」を加え、「こどもの貧困の解消に向けた対策推進法」とした。「子ども」は「こども」に改め、こども基本法にある「心身の発達の過程にある者」という意味にそろえた。施行は公布日から3カ月以内。

 基本理念には、現在の貧困解消だけでなく、将来の貧困を防ぐことを掲げた。こどもの貧困が、その家族の責任としてのみ捉えるべきではないことも明記。こどもがその権利、利益を害され、社会から孤立することのない社会を実現するとした。

 また、こども大綱に定める事項にひとり親世帯の養育費受領率などを追加。国や地方公共団体が、こどもの貧困の実態や、施策の在り方などについて調査研究などを行うことも盛り込まれている。

 さらに、国や地方公共団体が、こどもの貧困に取り組む民間団体の活動を支援するため、財政上の措置を行うことも明記した。

 同法は2013年6月、議員立法によって成立。今回の改正案もこどもの貧困対策推進議員連盟(田村憲久会長)が議員立法で提出した。

■民間団体は評価

 同法の成立を受け、こどもの貧困対策に取り組む3団体は同日、厚生労働省で記者会見し、同法案の成立を評価した。団体などは3月に法改正を求める提言をしていた。

 会見で、公益財団法人あすのばの小河光治代表理事は「今の政府のこども政策は少子化対策が中心だ。だから格差が生まれている」と指摘した。

 また、認定NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長も、こどもの相対的貧困率が下がっているのは、高齢の低所得者が増えているからだと主張。「実態をちゃんと見てほしい」と訴え、今後の調査研究への期待を述べた。