高校の食堂閉鎖で生徒ピンチ、OBらキッチンカーで参上…「母校のため赤字は覚悟」

AI要約

兵庫県立相生産業高校の食堂が閉鎖し、生徒たちが昼食に困っていたが、卒業生らがキッチンカーを利用して昼食販売を始めた。

食堂を閉鎖した原因は運営を担当していた男性の急逝であり、学校の周辺にコンビニもないため、生徒たちは昼食に困っていた。

今秋には食堂にもパンやコーヒーなどの軽食を提供する店舗が入る予定で、学校における食事事情が改善される見通しである。

 兵庫県立相生産業高校の食堂が営業をやめ、窮地に陥った生徒たちを支えようと、卒業生らがキッチンカーなどによる昼食販売を始めた。今秋には、食堂にもパンやコーヒーなどの軽食を提供する店舗が入る予定だ。同高は「食べ盛りの生徒たちの腹を何とか満たしてやることができ、ありがたい」と胸をなで下ろす。(田辺貴司)

 3月、食堂の運営や調理を担っていた男性が亡くなり、食堂は閉鎖せざるを得なくなった。以後、弁当を持たない生徒は通学中にコンビニで弁当やパンを購入するなどしてしのいできた。

 同高は数社に食堂運営を打診したが、契約には至らなかった。冷蔵庫や調理用ガスなどの光熱費に加え、近年の人件費や食材費の高騰なども考慮すると利益は見込めず、「学校の食堂運営はハードルが高い」というのが業者の一致した意見。エアコンもなく、40分間の昼休み時間、注文から提供まで20分程度しかないことにも躊躇(ちゅうちょ)したという。

 窮状を聞きつけたのが、たつの市で軽食喫茶店を営む岩佐晋吾さん(46)。「何とかしてあげたい」と、同高OBでイベント企画運営団体理事長の大坪義和さん(59)(赤穂市)に相談した。学校側も交えた協議で、大坪さんが知人らと弁当などを提供することが決まった。

 初日の17日、岩佐さんらがキッチンカーなどで学校に駆けつけた。タコライス丼や唐揚げ弁当などを税込み500~700円で提供すると、生徒たちは列を作って購入。「弁当だけでは足りず困っていた」「学校近くにコンビニがなく、腹が減ってたまらなかった」と切実な思いを吐露する生徒もいた。

 メニューは日替わりで用意し、状況を見ながら地域への開放も検討する。大坪さんは「母校が困っていると聞いて出店を決めた。イベント出店時よりかなり安くなるが、赤字は覚悟の上」。

 岩佐さんも、食堂でカレーパンやチーズポテトドッグ、ソフトクリーム、クリームソーダなどの軽食を提供することになった。設備を整え、夏休み明けに提供を始めるといい、「昼食後に軽食を取りながら、勉強に力を入れてくれたらうれしい」と話した。