航空自衛隊新田原基地に敷地拡張計画、「PAC3」訓練場所確保へ…「F35B」2個飛行隊に発展も

AI要約

政府が中国を念頭に置いた南西方面の防衛態勢強化を進める中、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)でも敷地拡張などが計画されている。

防衛省が隣接地約25ヘクタールを取得して行い、地対空誘導弾「PAC3」の訓練場所などを確保する予定。

基地では最新鋭ステルス戦闘機「F35B」を配備する計画も進められており、周辺地域との調整が行われている。

 政府が中国を念頭に置いた南西方面の防衛態勢強化を進める中、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)でも敷地拡張などが計画されている。拡張は防衛省が隣接地約25ヘクタールを取得して行い、地対空誘導弾「PAC3」の訓練場所などを確保する予定。また今年度中から配備が始まる最新鋭ステルス戦闘機「F35B」について将来的に2個飛行隊(約40機)へ発展させる計画も示している。(波多江航)

 同省によると、敷地拡張で取得を予定しているのは、基地北西側の新富町十文字地区を中心とした区域。弾道ミサイル迎撃などに使うPAC3の機動展開訓練を行うことを想定し、訓練時は他の基地から発射機やレーダー装置などを持ち込む。同基地へのPAC3の直接配備はしないとしている。

 拡張区域内の南側のエリアは、災害救援物資などを空輸する際の集積場とする。外柵に沿って騒音対策のための緩衝地帯も設けるとしている。町によると、予定地の大半は農地だが、一部宅地も含まれている。敷地拡張について防衛省は既に地元住民ら向けに説明を行い、地権者らとの交渉を進めている。

 一方、最新鋭ステルス戦闘機「F35B」について、防衛省は今年度中にまず国内の自衛隊基地で初めて新田原基地に6機を配備し、「臨時F35B飛行隊(仮称)」を発足させる。新田原基地ではこれまで将来的に約20機の1個飛行隊へ発展させる計画が明らかになっていたが、防衛省は今年2月、さらに1個飛行隊を追加配備する方針を新富町などに伝えた。F35Bは短距離での離陸や垂直着陸が可能で、事実上の空母化に向けて改修が進む「いずも」型護衛艦が、海上の拠点となる。

 6月の町議会定例会一般質問で基地対策について問われた小嶋崇嗣町長は、「周辺市町は基地開設以来、国防を理解して基地拡張や部隊改編などを受け入れてきた。安心で快適な住環境が確保できるよう、(国が)騒音対策などに誠実に対応されることを強く要望をしていく」と述べた。

 一般質問では、F35B配備にあわせて整備拠点となる企業の誘致を求める発言も。揖斐兼久町議は「(周辺自治体で構成する)基地周辺協議会で(誘致の)利点やハードルを示すことを早いうちにやっていただきたい」と要望。小嶋町長は「実現可能性の調査等、検討したい」と述べた。