真冬の大山、頂上付近で「助けて」の声 男性ら夜間に必死の救助活動

AI要約

男性が冬の大山で滑落し救助を必要とし、4人が活躍して救出された。

救出活動には山岳医療部会代表の医師や地元の登山者が協力し、男性は2泊の後に救出された。

男性が家族の元に帰れたことで救助隊は安堵し、約28人の態勢で救助活動が行われた。

 冬の大山で登山中に滑落し身動きが取れなくなった男性(当時67)を救助したとして、鳥取県警は25日、4人に感謝状を贈った。

 今年2月11日朝、三好良知(よしとも)さん(50)=岡山市中区=は大山の山頂に向かっていた。9合目のあたりで、下方から声が聞こえた。「アイゼンが落ちて上がれない。助けてください」

 近くにいた別の登山者2人に尾根上で待機してもらい、警察に連絡してもらうとともに、三好さんは120メートルほど下って声のするところまで下りた。ひざ上まである雪の中、衰弱して凍傷もある様子だったが声はしっかりしていた。

 大山山岳医療部会代表の医師、長谷川賢也さん(61)=岡山県新見市=は、たまたまこの日が冬山パトロールの当番で、午前9時に仲間や県警職員計6人でふもとを出発したところだった。救助要請を受け、現場に向かった。

 昼過ぎに9合目付近に着いたが視界が悪く、いったん頂上小屋へ。午後2時ごろ、三好さんと合流した。

 そのころ、県山岳・スポーツクライミング協会遭難対策委員会の神庭進さん(47)=伯耆町=、長妻誠二さん(68)=島根県雲南市=もふもとを出発した。

 現地に着いたらもう日没。県警とも相談し、雪が積もり続けており翌日はさらに救助は難しくなると判断、夜間の救助を決めた。午後9時ごろ、神庭さんと三好さんが男性のところまで行き、約2時間で頂上小屋まで男性を引き上げた。翌12日に下山。男性の遭難は10日で、2泊を過ごし低体温症と凍傷で重症だったが命は取り留めた。

 三好さんらは「男性がご家族の元に帰れたのが何よりです」と笑顔だった。

 救助活動には三好さんらのほか、県警17人、消防局11人の態勢で当たった。(奥平真也)