安全性は「一定程度浸透」 原発処理水、客観情報発信で 原子力白書

AI要約

内閣府の原子力委員会が2023年度版原子力白書を公表。福島第1原発の処理水安全性について国民の意識の変化や不安要因を指摘。

アンケート調査では、処理水放出に対する国民のリスク認識に差があり、政府による科学的情報発信の重要性が示唆された。

一般層における原子力や放射線に関する不安が大きい傾向が見られ、国民の信頼を得るための取り組みが求められている。

 内閣府の原子力委員会は25日、2023年度版原子力白書を公表した。

 昨年8月に海洋放出を開始した東京電力福島第1原発の処理水の安全性について「国民の間に一定程度浸透している」と指摘。国際原子力機関(IAEA)など第三者機関の協力を得て、情報発信の客観性や透明性の確保に努めたことが有効だったとの見方を示した。

 白書は「目に見えない放射線のリスクに対して不安を感じる国民が存在する」とも明記。その上で、政府や東電ホールディングスに対し「継続して国民の不安の声に真摯(しんし)に応えていく粘り強い取り組み」を要請した。

 原子力や放射線に詳しい層1000人と一般層6000人を対象に、今年2月に実施したアンケート調査の結果も掲載した。それによると、処理水放出のリスクを「受け入れられない」と答えた人の割合は、詳しい層で14.3%だったのに対し、一般層は約3倍の42.2%に達した。

 放射性廃棄物など他の項目でも一般層の不安が大きい傾向が見られた。白書は、政府に対し科学的な情報発信で原子力への国民の信頼を得る努力を続けるよう求めた。