菅前首相が“のろし” 岸田降ろしが加速 “本命”探しへ「HKT」らと会食繰り返す

AI要約

自民党総裁選に向け、菅義偉前首相が岸田文雄首相の退陣を要求する動きを活発化させている。

菅氏は派閥の裏金事件への不信感を指摘し、新たなリーダーが必要だと述べた。

菅氏は異なる派閥の有力者と会食し、総裁選への動きを見せている。

菅前首相が“のろし” 岸田降ろしが加速 “本命”探しへ「HKT」らと会食繰り返す

 岸田内閣の支持率が歴史的低迷を続ける中、菅義偉前首相が9月に予定されている自民党総裁選に向け“岸田降ろし”を活発化させている。ポスト岸田文雄首相と目される有力議員と頻繁に会食し、情報収集。23日には、総裁選では新たなリーダーが出てくるべきと発言。事実上の“退陣要求”を突き付けた。

 「“ポスト岸田”選びの号砲だ」。党内がザワついた。

 23日に公開されたインターネット番組で、総裁選で新たなリーダーが出てくるべきではないかと問われた菅氏は「そう思う。党の刷新の考え方などを理解してもらえる最高の機会だ」と発言した。派閥の裏金事件に関し「首相自身が責任に触れず今日まで来ている。不信感を持っている国民は多い」と責めた。

 首相へは若手からも退陣論、責任論の声が次々と上がっている。そんな中で、非主流派のキーマンとして影響力を持つ菅氏から出た厳しい言葉は、党内を駆け巡った。林芳正官房長官は24日の会見で「国民の政治に対する不信の声を真摯(しんし)に受け止め、先送りできない課題に専念し、結果を出していきたい」と“火消し”に努めた。

 当の首相は再選に意欲を見せる。通常国会が閉幕した21日の会見で、5月使用分で終了予定だった電気・ガス料金の補助を8月から3カ月間限定で再開すると発表。さらに低所得者層などへの給付金支給を含む経済対策を秋に行うとも表明。「気力は十分みなぎっている」とまで話した。

 首相の再選の意思を打ち砕くような菅氏の発言。2021年10月に首相を退いてからは“政局”に関わっていなかったが、政権関係者は「最近、会食を繰り返し、よく動いている」と声を潜める。6日には、頭文字を取って「HKT」と呼ばれる萩生田光一前政調会長、加藤勝信元官房長官、武田良太元総務相に、小泉進次郎元環境相を交えて会食。いずれも菅政権で閣僚だった面々だが、HKTはそれぞれ安倍派、茂木派、二階派の幹部。特に加藤氏は総裁就任に前向き。菅氏周辺はこの会食について「加藤氏もカードとしてあると周囲に見せる意味があった」と推察した。

 政治資金規正法改正、派閥解散で首相との対立が表面化した茂木敏充幹事長とも19日に会食。茂木氏は派閥内で加藤氏とライバル関係にあり「夏の間、よく考えたい」と総裁選への出馬をうかがっている。

 菅氏は周囲に「これからいろいろ動きが出てくるだろう」と予告。与党関係者は「菅氏は誰を推すのか、まだ決めていない。党内の状態を見極めている段階」と話す。やる気満々の現首相に対し、代わりを探す前首相。“本命”探しへ、菅氏の暗躍は続く。