20年で半減 深刻な外科医不足 手術待ちに外科閉鎖も 女性医師語る「医療現場の実態」

AI要約

外科医不足の深刻な影響と患者への影響について述べられています。医師不足による手術の待ち時間や病院の混雑、さらには一部病院の外科閉鎖などが明らかになっています。

外科医の数が20年で半減している理由について、勤務環境や給与、医療訴訟リスクなどが挙げられています。特に女性医師の活躍が求められていると指摘されています。

女性医師の増加や働きやすい環境整備が、外科医不足の解決につながる可能性があることが示唆されています。

20年で半減 深刻な外科医不足 手術待ちに外科閉鎖も 女性医師語る「医療現場の実態」

近年、外科医不足が原因で、手術を受けたくても受けられず、中には半年待ちになったケースもあるといいます。 外科医の数は、20年で半減。深刻な状況です。

 外科医不足による影響です。

70代女性

「病院で、腸閉塞になりかけていると診断されたが医者が足りず、他の患者さんの手術を優先され、すぐに手術してもらえなかった。1週間ほど痛み止めを飲んでこらえた」

60代男性

「60代の妻が、今年1月にひざの手術を予定していたが、担当医が突然辞めてしまい、中止になった。代わりの医師はいないと言われ転院したが、検査のやり直しなどで、結局、手術は4月になった」

20代 救急救命士

「病院に搬送したくても、『手術できる先生がいない』という理由で断られることは頻繁にある。近くに受け入れ先がない時は、隣の市の病院まで1時間かけて搬送することも」

 外科医不足の地方の病院への影響です。

 島根県済生会江津総合病院では、2022年度末から、外科で医師の退職が相次ぎ、代わりの医師を確保できる見通しが立たず、外科が閉鎖となりました。

 さらに、脳神経外科では、1人のみだった常勤の医師が退職し、非常勤の医師が診察する体制になったため、週1回の外来診療のみになりました。 現在、病院では、手術が必要な疾患の受入れは出来ない状況です。

この病院の担当者は、

「医師不足に加えて、医師の高齢化も進んでおり、地域の医療ニーズに応えることが困難になっている。近隣の病院との連携に努めているが、他の病院も医師不足で、医師派遣が難しい状況」だと話しています。

 外科医の人数です。

 2002年は2万3868人で、医師全体に占める割合は9.6%でしたが、2022年は1万2775人で、医師全体に占める合は3.9%です。20年で約1万人減少しています。

 なぜ、外科医が減っているのでしょうか。

大阪医科薬科大学の河野恵美子さんによると、

●勤務時間が長い

●他の科に比べ、一人前になるまで時間がかかる

●給与が勤務量に見合っていない

●医療訴訟のリスクが高い

などが挙げられるということです。

この外科医不足の解決の糸口ですが、

大阪医科薬科大学の河野さんは、“鍵”は女性だといいます。

「現状、外科は女性が非常に活躍しづらい環境。女性も外科医として働ける環境をつくることで、女性外科医を増やすことが必要」ということです。

 医学部医学科に進学した女子学生の割合です。約30年間、3割台どまりでしたが、2023年度、初めて4割を超えました。

 一方で、外科医は、男性が92.3%、女性が7.7%と、圧倒的に女性が少ないです。さらに、女性外科医は、35歳以上で急速に減少しています。