宅配便営業所でチェーンソー作動させた男「さっさと荷物出せや」…三重県もカスハラ対応に本腰

AI要約

三重県は10日、カスタマーハラスメント(カスハラ)に対応するための条例制定に向けて有識者会議を設置する方針を示した。

労働団体からの要請を受け、県がカスハラ対策に力を入れる背景がある。

全国的にカスハラが社会問題化しており、各地で条例化の動きがある。

 三重県は10日、顧客が企業の従業員に理不尽な要求や悪質なクレームを突きつける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に対応するための条例制定に向けて、有識者会議を設置する方針を明らかにした。全国で悪質なカスハラが問題となり、県内では逮捕事例も出ているなか、条例化に向けた議論を加速させる考えだ。(松岡樹、小林加央)

 一見勝之知事が10日の県議会一般質問で明らかにした。県によると、経済団体や労働組合、学識者などの有識者会議で条例の制定について議論し、年度内にも一定の方向性を示してもらう。一見知事は「パワハラやセクハラは、法律によって減ってきた。『お客様は神様』という風潮を変えていかなければならない」と述べた。

 県がカスハラ対策に力を入れる背景には労働団体からの強い要請がある。

 連合三重は2月に開いた総決起集会で、カスハラ対策を県に要請した。4月には、小売りや外食などの労働組合が加盟する「UAゼンセン」県支部の関係者が県庁を訪れ、防止条例の制定を要請した。

 これらを受け、一見知事は以前から「条例の制定も考えていかないといけない」との考えを示していた。

 カスハラ防止の条例化を巡っては、東京都が2月、条例案を早期に提出する方針を発表した。東海3県では、愛知県も今月10日、カスハラの現状を把握し、防止に向けた対策を議論するための協議会をつくる考えを表明し、「条例制定も含めて検討したい」と説明している。

 カスハラは全国的に、社会問題化している。

 UAゼンセンが今年1~3月、全国の約3万人の組合員を対象に実施した調査結果では、直近2年以内でカスハラの被害に遭ったという回答は46・8%で、2人に1人に上った。

 迷惑行為を体験した後、「嫌な思いや不快感が続いた」との回答は50・5%、「寝不足が続いた」(1・2%)、「心療内科などに行った」(0・8%)などもあった。

 一方、企業の対策としては「特に対策はなされていない」との回答が42・2%と最も多く、「マニュアルの整備」は28・6%、「専門部署の設置」は23・4%だった。