職員名札をひらがなで名字だけ、カスハラ問題で…安心の職場づくり

AI要約

草津市では職員の名札をひらがなの名字表記に変更することで、カスタマーハラスメント対策を行っている。

カスハラに該当する事例がないものの、職員からの要望で名字のみの名札採用が検討されていた。

他の市でも名札の形式や内容を工夫してカスハラ対策を行っている例がある。

 滋賀県草津市は7月から、職員の名札を現行のフルネームから、ひらがなでの名字表記に変更する。近年、理不尽で過剰な要求やどう喝など、行政職員に対する「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が全国的に問題となっており、職員が安心して働ける職場づくりの一環としている。

 市によると、行政窓口の利用者が応対した職員に対し、「名前を覚えたぞ」と脅したり、個人情報をSNSで探ったりする悪質なケースが全国的に増加しているという。市では今のところカスハラに該当する不当要求や嫌がらせの事例はないが、職員から「名字だけにしてほしい」との要望があり、昨年度から検討してきた。

 市職員らは服務規定で名札の着用が定められているが、その様式は決まっておらず、より名前を特定されないよう、名字の漢字表記もやめ、ひらがな表記とした。草津市職員課は「ひらがなでも読みやすいフォント(書体)で親しみもわくのではないか」としている。

 名字のみの名札の採用について、県内ではほかに彦根市が昨年9月、米原市が同10月、長浜、野洲両市が今年4月、高島市が6月から実施。名字を漢字で表記し、ふりがなとローマ字表記も添えるケースが多く、高島市は各部署で漢字かひらがなかを選べるようにしている。また、顔写真付きの名札を使っていた長浜市は写真の使用もやめた。

 彦根市によると、同市が2022年10月に医療職を除く全職員を対象に実施したカスハラに関する職員のアンケートでは、回答した695人のうち、過去5年間でカスハラを経験したと答えた職員の割合は54%に上った。内容は複数回答で「 侮蔑ぶべつ や大声の威圧など乱暴な言動」(284人)、「長時間の拘束(窓口・電話など)」(239人)、「税金の支払い拒否などの不当な要求」(167人)が多かった。