「死のうとも思ったが、動くこともできなかった」自転車事故で脊髄損傷…ヘルメット着用の大切さ訴え

AI要約

熊本市中央区の車いす生活の男性が、自転車事故で脊髄損傷を起こし、ヘルメットの重要性を訴える講演を行った。

自転車事故で障害を負った男性が、自らの経験を通してヘルメット着用の必要性を訴え、生徒に呼びかけた。

生徒から受け入れまでの葛藤や自分の未来への不安を語り、生徒たちの意識も変える講演が実施された。

 自転車事故で脊髄を損傷し、車いす生活を送っている熊本市中央区の長江浩史さん(61)が熊本県立熊本工業高で講演し、生徒約1200人にヘルメット着用の大切さを訴えた。

 長江さんは約10年前、自転車で転倒して首の骨を折る大けがをした。ヘルメットは着用していなかった。事故後、下半身の感覚がなくなって歩けず、食事や排せつも一人ではできなくなった。現在は介助を受けながら暮らしているという。

 自転車でのヘルメット着用は昨年4月に施行された改正道路交通法で明記されたが、努力義務となっている。5月24日にあった講演で、長江さんは事故直後から歩行練習を続け、10年かけてようやく1歩踏み出せるようになった苦労を語り、「皆さんに同じような事故に遭ってほしくない」と着用を呼びかけた。

 生徒から最もきつかったことを尋ねられると、「(障害が残ると知り)死のうとも思ったが、自分で思い通りに動くこともできなかった」と答え、受け入れるまでの葛藤や将来への不安を挙げた。

 機械科3年の生徒(17)は「改めてヘルメットの大切さを感じた。命を守るためにかぶり続けたい」と話した。

 同高は、市の自転車安全利用モデル校に指定されている。4月から自転車通学許可の条件にヘルメットの着用を盛り込み、現在は着用率100%という。