優しいのがよい教師?ほめて伸ばす時代にあるべき「上級の叱り」指導法

AI要約

ハラスメントが社会問題化する中で、叱ることに対する否定的な風潮が強まっている。

叱りは成長に必要な要素であり、適切な指導方法を持つことが重要である。

子どもや保護者との信頼関係を築くために、適切な叱り方が求められている。

優しいのがよい教師?ほめて伸ばす時代にあるべき「上級の叱り」指導法

叱ることはいけないことなのか……ハラスメントが社会問題化する中で、「叱ること=悪」のような風潮が強くなっている。学校現場においても叱りに対してマイナスイメージを抱く人が増えているという。だが、「『叱らない指導』は、叱り技術に長けた名人級の教師が、長年の経験と研究によって身に付けた『叱り指導法』で、決して叱ることを否定した指導方法ではない」と話す奈良県公立小学校校長の中嶋郁雄氏に、今の時代に合った叱りについて考えてもらった。

パワハラ、セクハラ、モラハラ、カスハラ……。これらの言葉に象徴されるように、現在、さまざまな「ハラスメント」が社会問題化しています。その影響もあり、とくにこの数年間で、日本社会は指導すること・叱ることに対して肯定的ではない風潮が強くなっているように感じます。

実際に、ビジネスの現場では、新入社員や若手社員に対して厳しく指導することが難しくなっているといわれます。現在は「ほめて伸ばす」ことをモットーとする企業やリーダーが増えており、「叱る」ことがまるで悪いことのように感じることさえあります。

しかし、人の成長にとって「叱り」は本当に不要なのかと問われれば、多くの人が「否」と答えるはずです。危険な行為をしていたら、わが子の命や安全を守るために、親は叱って禁じるはずです。いじめや人に迷惑をかける行いをしていたら、わが子をいさめるために叱って教えるのが親というものでしょう。「叱り」は古今東西を問わず行われてきた教育的行為であるともいえます。

学校現場においても、現在は子どもに対する指導には細心の注意を払って行わなければならなくなっています。昨今の学校や教師に対する社会の「目」を考えると、一昔前に私たちが受けてきた(行ってきた)ように、あからさまに厳しく叱ることに対しては、注意を払わなければならない時代です。

「指導」と称して大声で罵声を浴びせたり威嚇したりするのはもってのほか。たとえ教師にそのつもりがなくても、子どもがショックを受けたと感じるような指導は控えなければなりません。

例えば、ほかの子が見て、明らかに叱られているとわかるような指導をすると、「友達の前で恥をかかされた」とショックを受けて保護者の苦情につながってしまいます。今の時代は、子どもや保護者との信頼関係を築くためにも、子どもが納得できないような叱り方は控えるべきです。