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なぜ「イチロー監督」「松井秀喜監督」は実現しないのか…プロ野球とMLBでまったく違う監督の選考基準
MLB監督はほとんどが元スター選手ではなく、選手経験のない人も多い。
努力が重要であり、MLB監督は指導力や経験を重視される。
日本のプロ野球では、興行面を重視して元スター選手が監督に選ばれる傾向がある。
5月26日、プロ野球の西武は、成績不振のため松井稼頭央監督が休養し、渡辺久信ゼネラルマネジャーが監督代行に就くと発表した。ライターの広尾晃さんは「日本のプロ野球は、興行面を重視してチームの監督に元スター選手ばかり選ぶ。指導者に指導力を求めないのは残念だ」という――。
■メジャーリーグの監督で元スター選手はほとんどいない
大谷翔平がドジャースに移籍してから、デーブ・ロバーツ監督が日本のメディアに出ることが多くなった。2016年にドジャースの監督になって今年で9年目だが、過去8年でリーグ優勝7回、ワールドシリーズ制覇1回、当代屈指の名将だ。
母親が日本人で、沖縄生まれ。現役時代は、インディアンス、ドジャース、パドレス、ジャイアンツなどに俊足の外野手として在籍。しかしMLBでは832試合に出て721安打23本塁打を打っただけだ。
日本のファンはロバーツ監督の現役時代の成績を見て、「スター選手でもなかったのに、努力してメジャーの監督になったんだな」と思うかもしれない。
しかしその認識は少し違う。確かに努力したのは間違いないだろうが、ロバーツ監督はレギュラー選手だった時期もあるし、むしろMLB監督では「元有名選手」のうちなのだ。
以下に、現在のMLB30球団の監督の経歴を記した。
所属先、名前、MLB選手としての成績(通算安打、本塁打、勝利、セーブ)となっている。()はオールスターの出場回数。
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【アメリカン・リーグ】
オリオールズ/ブランドン・ハイド/メジャー出場なし
レイズ/ケビン・キャッシュ/117安12本(0)
ヤンキース/アーロン・ブーン/1017安126本(1)
ブルージェイズ/ジョン・シュナイダー/メジャー出場なし
レッドソックス/アレックス・コーラ/828安35本(0)
ツインズ/ロッコ・バルデッリ/531安60本(0)
タイガース/A.J.ヒンチ/209安32本(0)
ガーディアンズ/スティーブン・ヴォート/560安82本(2)
ホワイトソックス/ペドロ・グリフォル/メジャー出場なし
ロイヤルズ/マット・クアトラロ/メジャー出場なし
アストロズ/ジョー・エスパーダ/メジャー出場なし
レンジャーズ/ブルース・ボーチィ/192安26本(0)
マリナーズ/スコット・サーヴィス/611安63本(0)
エンゼルス/ロン・ワシントン/414安20本(0)
アスレチックス/マーク・コッツェイ/1784安127本(0)
【ナショナル・リーグ】
ブレーブス/ブライアン・スニッカー/メジャー出場なし
フィリーズ/ロブ・トムソン/メジャー出場なし
マーリンズ/スキップ・シューメーカー/905安28本(0)
メッツ/カルロス・メンドーサ/メジャー出場なし
ナショナルズ/デーブ・マルティネス/1599安91本(0)
ブリュワーズ/パット・マーフィ/メジャー出場なし
カブス/クレイグ・カウンセル/1208安42本(0)
レッズ/デビッド・ベル/1239安123本(0)
パイレーツ/デレク・シェルトン/メジャー出場なし
カーディナルス/オリバー・マーモル/メジャー出場なし
ドジャース/デーブ・ロバーツ/721安23本(0)
ダイヤモンドバックス/トーリ・ルヴロ/165安15本(0)
パドレス/マイク・シルト/メジャー、マイナーともに出場なし
ジャイアンツ/ボブ・メルヴィン/456安35本(0)
ロッキーズ/バド・ブラック/121勝11セーブ(0)
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30人の監督のうち、11人はMLBでプレーしたことはないマイナー止まりの選手だった。それどころかダルビッシュ有や松井裕樹が所属するパドレスのマイク・シルト監督などマイナー経験さえなく、高校野球の指導者からスカウトを経てパドレスの監督になっている。
オールスターに出場したのは、ヤンキースのブーン監督と、ガーディアンズのヴォート監督だけ。スター選手だった監督はほとんどいないのだ。