「飲み干すのがマナーなの?」ラーメン店で“スープ完飲”すべきか悩む人たち ラーメン好きからの圧力と店員の眼前での緊張感、残して謝る人も

AI要約

日本におけるラーメンのスープに関する食文化についての取材結果をまとめると、スープを残さず飲み干すことが美徳とされる一方、完全に飲み干すことに対するプレッシャーや圧力を感じる人も存在する。職人気質のラーメン店ではスープにこだわりを持つ店が多く、スープまで完食することが店員や周囲から期待される状況もある。

ラーメンのスープに関する文化や価値観は個人や環境によって異なり、全て飲み干すことが厳しいと感じる場合もある。身近な人がスープを完全に飲み干す姿に驚く人もおり、その理由や背景について考える機会も生まれている。

食文化やマナー、感謝の気持ちの表現方法など、多角的な視点でラーメンのスープに関する考察が行われていることがわかる。日本独特の食文化に触れながら、個々の価値観や考え方の違いを尊重することの重要性も浮き彫りになっている。

「飲み干すのがマナーなの?」ラーメン店で“スープ完飲”すべきか悩む人たち ラーメン好きからの圧力と店員の眼前での緊張感、残して謝る人も

 日本においては作り手への感謝を示すためには“残さず食べる”ことが美徳とされることもある。そこで、判断に迷うのがラーメンの「スープ」である。スープにこだわっていることをアピールするラーメン店は多く、原価がかかる上に実際その仕込みは大変な作業であることもよく知られている。ラーメンの器を空にする=完食(※「完全まくり」の略で「完まく」と呼ぶ店もある)するために、スープまで飲み干すのがマナーなのか。悩めるラーメンファンに話を聞いた。

 メーカー勤務の40代男性・Aさんは、職人気質のラーメン店に行くと、「スープとにらめっこすることになる」という。

「たとえば家で自分でラーメンを作る場合、市販品のだしと麺がメインなのでスープは残してしまうことがほとんど。でもスープにこだわっているとアピールしている、あるいは明らかにこだわっていることがわかるようなお店で、特にカウンターに座ると、『店員さんの前で残したら失礼かな』とか、『がっかりされるのかな』とかいろいろ考えてしまって……」

 Aさんは、ラーメンのスープに手間がかかっていることを感じると、「飲まないといけない」というプレッシャーになるのだという。

「最近、つけ麺のスープ割の追加が有料だという店をめぐり、スープのコストが議論になりましたが、逆にいえばラーメンのスープを残すということは、お金を捨てているようなことになるのでしょうか。ただ実際、全部飲むのは厳しいものがある。こだわりのラーメン店ほど、個人的に緊張感が漂います」(Aさん)

 ラーメン好きの圧力を感じる人もいるようだ。不動産会社勤務の30代・Bさんは、ラーメン屋で職場の同僚がスープまで完飲している姿を見て、驚いたという。

「同僚は最後に何のためらいもなく、スープを一気に飲み干したので、思わず二度見してしまいました。僕は親から『ラーメンのスープ=体に悪い』と言われて育ったので、そもそも飲むという発想がありませんでした。しかも温かいうどんやそばだって、別につゆは全部飲まないじゃないですか。

 その後、同僚に『よく飲めるよね』と話を振ってみたら、彼は『感謝の気持ちであり、マナーかな』と言っていました。あと、『本当においしければ、スープまで全部飲みたくなる』と。たしかにうどんやそばのつゆに比べて手間もコストもかかっているんだろうなとは思いますが、僕は飲めそうにありません」