定額減税って何?  給付と組み合わせも

AI要約

政府による定額減税が6月に始まり、所得税と住民税の減税が行われる。恩恵を受けられない世帯には給付金で不足分を支給することも決定された。

定額減税は納税額から一定額を差し引く制度であり、今回の減税は物価高で影響を受ける国民生活を支援し、年収2000万円以下の納税者を対象としている。

給与所得者や年金受給者に対しては、所得税と住民税の減税方法がそれぞれ異なり、低所得世帯や子育て世帯にはさらなる支給金が用意されている。

 政府による定額減税が6月に始まる。1人当たり所得税3万円と住民税1万円の計4万円を減税。減税の恩恵を十分に受けられない世帯には不足分を給付金で支給する。

 ―定額減税とは。

 納税額から一定額を差し引く制度。過去にはアジア通貨危機や山一証券の破綻を受け1998年に行われた。減税には、納税額の一定割合を控除する「定率減税」もある。

 ―減税する理由は。

 物価高で影響を受ける国民生活を支援し、デフレ脱却を確実なものにするためだ。対象は年収2000万円以下の納税者やその配偶者らで、約9500万人に上るとみられる。

 ―減税方法は。

 給与所得者の場合、所得税は6月支給分の給料や賞与から控除される。納税額が低くて控除し切れなかった分は7月以降に差し引く。所得税の減税額は給与明細への明記が義務付けられる。住民税は6月分を徴収せず、年間納税額から減税分を引いた金額を7月から来年5月にかけて毎月均等に徴収する。年金受給者は年金支給時に、個人事業主の場合は原則2024年分の確定申告時にそれぞれ減税分が控除される。

 ―給付も組み合わされると聞いた。

 納税額が少なくて、控除し切れない人には、不足分を1万円単位に切り上げて支給する。減税対象者のうち約3200万人が該当するとみられ、例えば、減税額が100円不足する場合でも給付金は1万円となる。このほか、住民税は課税しているが所得税は非課税の世帯に10万円を支給。所得税も住民税も非課税の世帯には、昨春の物価高対策に基づき既に支給した3万円に加え7万円を追加で給付。低所得の子育て世帯には子ども1人当たり5万円を加算支給する。

 ―期待される効果は。

 定額減税は定率減税に比べ、所得の低い人ほど恩恵が大きいとされる。政府は約3兆3000億円の減税規模の半分程度が消費に回ると見込む。経済状況次第で来年も減税を行う可能性を指摘する声もあるが、鈴木俊一財務相は「デフレマインドを払拭するきっかけとするため、一時的に措置するものだ」と否定的だ。