国交省、キャッシュレス決済限定の路線バスを認める方針…運行経費削減や運転手の負担軽減へ

AI要約

国土交通省は全国の路線バスに対し、料金支払いをキャッシュレス決済に限定する方針を明らかにした。

完全キャッシュレス化が実現すれば、運行経費の削減や運転手の負担軽減につながる可能性がある。

また、運転手の現金管理の手間を省く効果も期待されており、労働時間の規制強化などでバスの運転手不足が深刻化している背景もある。

 国土交通省は28日、全国の路線バスに対して7月にも、料金の支払いをICカードなどのキャッシュレス決済に限定して運行することを認める方針を明らかにした。バス運送の基本ルールを示す国交省の標準運送約款を改正する。料金を現金で受け取らない完全キャッシュレス化が実現すれば、路線バスの運行経費の削減や運転手の負担軽減につながる可能性がある。

 斉藤国交相は28日の閣議後の記者会見で、「バス路線が将来にわたって維持されるよう、丁寧に制度設計を進めたい」と話した。国交省は今秋、複数の路線バスで実証実験を行い、課題を検証する。

 路線バスでは現在、現金とキャッシュレス決済の両方に対応していることが多いが、標準運送約款には支払い方法に関する具体的な記述はない。現金しか持たない利用者が乗車できないと、道路運送法が原則禁止している「乗車拒否」にあたる可能性があり、事業者は国交省に明確化を求めていた。

 国交省によると、2022年度には路線バスの事業者の8割以上が赤字となった。事業者にとって運賃箱の更新やメンテナンスにかかる費用は大きく、7月には新紙幣への対応も求められる。事業者からは「一部の車両でも完全にキャッシュレス化ができれば、更新費用を抑えられる」との声が上がる。

 また、完全キャッシュレス化は運転手の現金管理の手間を省く効果も期待されている。労働時間の規制強化などの影響でバスの運転手は不足しており、路線バスは都市部でも減便や路線廃止が相次いでいる。