東京-大阪間“無人カート”が荷物を運ぶ「自動物流道路」実現を目指して…“物流問題”どこまで効果がある? 専門家が解説

AI要約

国土交通省が無人のカートで荷物を運ぶ「自動物流道路」の実現を目指す「2024年問題」への対策を進めている。自動物流道路は高速道路や地下空間を活用し、効率的な物流を目指す構想であり、再生エネルギーの活用も考えられている。

日本では国土交通省が実験線を作り、東京~大阪間を想定して自動物流道路を整備する計画が進められている。一方、スイスやイギリスでも同様の自動物流道路の構想が進んでおり、新たな物流システムが生まれつつある。

自動物流道路の整備は将来の人口増加や貨物輸送量増加への対応を考えたものであり、再生可能エネルギーの活用やリニアモーターを用いたシステムなど、様々な工夫がされている。

東京-大阪間“無人カート”が荷物を運ぶ「自動物流道路」実現を目指して…“物流問題”どこまで効果がある? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。5月22日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「2024年問題対策で『自動物流道路』整備へ その課題は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

国土交通省は5月14日(火)、無人のカートなどで荷物を運ぶ「自動物流道路」の10年後の実現を目指して、東京・大阪間を念頭に具体的な検討を進めていく考えを示しました。これは、物流の停滞が懸念される「2024年問題」への対処策の1つということです。

吉田:塚越さん、この「自動物流道路」とは何なのか教えてください。

塚越:スイスなどで検討が進んでいる、無人のカートが荷物を運搬する構想です。日本でも10年後を目途に実現する構想が検討されています。

この自動物流路ですが、例えば高速道路の路側帯や中央分離帯、あるいは地下空間の利用が想定されています。自動で動く無人のカートが荷物を運搬するということなので道路を整備して、物流の効率化を目指します。

カートは再生エネルギーを使う案も出ていて、CO2排出量を削減して脱炭素も目指すということです。

吉田:日本の「自動物流道路」について、今はどのような状況ですか?

塚越:まずは国土交通省が「実験線」を作るということで、その場所は荷物が集まる拠点を結ぶ路線などが考えられています。実際にそこでカートの制御や電気の供給、荷物の積替えの自動化を検証研究します。その上で、実際に自動物流道路を整備するのは東京~大阪間を想定しています。

ユージ:この「自動物流道路」、海外でも検討が進められているようですね?

塚越:そうですね。スイスでは主要な都市と都市を結ぶ地下トンネルで自動運転カートを走らせる構想を掲げており、実際、2021年に成立した「地下貨物法」で正式に計画が進んでいます。スイスでは地下に24時間体制で自動輸送カートが走る専用トンネルを建設して、主要な都市を結ぶ総延長500kmのシステムが構想されています。

2031年にチューリッヒ~ヘルキンゲンの都市間・約70kmの運用を開始して、2045年までに全線を開通予定です。今のところ500kmの全線開通にかかる総費用は約5兆円です。

なぜここまで費用がかかることをするかというと、国土交通省の資料によればスイスは2017年に850万人だった人口が2030年に950万人に増えると予想されています。また2040年には、2010年と比較して貨物輸送量がおよそ40%増えるといった予測があり、現状の輸送に限界を感じたということです。

自動運転カートは、トンネル内にある3つのレーンを時速30kmで24時間体制で稼働させます。将来的に自動カートは100%再生可能エネルギーにするといいます。他にも、物流ターミナルから直接自動レーンに接続するなど、さまざまな工夫が考えられています。オートメーション化など、まだまだやれることが増えてくるといいます。

一方、イギリスでは、鉄道レールの横に「リニアモーター」を活用した物流専用道を作る計画(Magway system)を進めています。その名の通り“電磁気力”を動力として、輸送専用に開発した低コストのリニアモーターによる完全自動運転による物流システムです。こちらはロンドンの既存の鉄道内に16kmの専用レーンを作るというもので、2021年から検討しており、2025年に許可が下りたら、目標として2028年~2030年には稼働したいということです。これは、もう少しコンパクトな方法ですね。

ユージ:なるほど。全く知らなかった情報だったので興味深いです!