中国電池CATLが「フランス海運大手」と提携の背景

AI要約

中国のCATLがフランスのCMA CGMと提携契約を締結。両社は船舶の電動化や物流車両などで協力し、合弁会社の設立も計画。

CATLは電気自動車用電池メーカーとして知られるが、電動船舶や電動航空機など他の分野にも進出。最新の凝縮系電池も開発中。

提携契約は中国の国家主席習近平の欧州歴訪に合わせて調印され、CATLの董事長も同行。フランス大統領も中国企業の投資に期待を示す。

中国電池CATLが「フランス海運大手」と提携の背景

 世界最大の電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は5月8日、フランス海運大手のCMA CGMとの提携契約に署名したと発表した。両社は船舶の電動化や物流車両、倉庫物流などの分野で協業を模索し、合弁会社の設立も計画している。

 CMA CGMはコンテナ海運で(スイスのMSC、デンマークのA・P・モラー・マースクに次ぐ)世界第3位の巨大物流企業だ。保有船舶は620隻、運営航路は257ルートに上り、世界各地の420の港湾でサービスを提供している。

 なお、CATLはCMA CGMとの提携に関して、上記以上の具体的な情報は公表していない。

■EV以外の用途開拓を模索

 CATLはEV(電気自動車)用の車載電池のトップ企業として有名だが、数年前からEV以外のモビリティ分野の用途開拓にも貪欲に取り組んでいる。

 その代表例が電動船舶と電動航空機だ。同社は2022年11月、船舶の電動化を推進する子会社「寧徳時代電船科技」を100%出資で設立した。

 また、2023年7月には電動航空機を開発する合弁会社「商飛時代上海航空」を、国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)と共同設立した。CATLは同年4月、電池セル単体のエネルギー密度が1キログラム当たり最大500Wh(ワット時)に達する「凝縮系電池(コンデンスドバッテリー)」を発表し、電動航空機への搭載を視野に入れている。

 今回のCATLとCMA CGMの提携契約は、中国の習近平国家主席が5月5日から10日までフランス、セルビア、ハンガリーを訪問したのに合わせて調印された。習主席の欧州歴訪には、中国の企業家随行団の一員としてCATL董事長(会長に相当)の曽毓群(そう・いくぐん)氏が同行した。

 曽氏は5月6日、パリで開催された中仏企業家のフォーラムに出席。その会場でスピーチしたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、中国企業による積極的な対仏投資に期待を示し、次のように述べた。