シンプルゆえに奥深い! 新型「ホンダ・フリード」のデザインを元カーデザイナーはどう見たか?

AI要約

ホンダ・フリードが8年ぶりにフルモデルチェンジされ、コンパクトミニバン市場で人気の車種となっている。デザインはシンプルでプロポーションのよさが際立ち、スタンスの良さが特徴的だ。

シンプルながら堂々とした顔まわりと、若干物足りないリアまわりの対比が見受けられる。リアデザインには新規性の欠如があり、特にリアの比率や仕立てが改善される余地がある。

ユニークなデザイン性や3列目の居住スペースを考慮した箱型のシルエットは好評であり、他のホンダのミニバンとの比較も行われている。

シンプルゆえに奥深い! 新型「ホンダ・フリード」のデザインを元カーデザイナーはどう見たか?

「ホンダ・フリード」が、実に8年ぶりにフルモデルチェンジされますね。コンパクトミニバン市場はフリードと「トヨタ・シエンタ」のガチンコ対決状態にあり、そのどちらもが人気車種です。小さな寸法なのに最大で7人が乗れ、さらに電動スライドドアなど装備も充実しているとあれば、日本で売れる理由がわかります。

シエンタがどこか動物のようなカジュアル路線のデザインなのに対し、新型フリードは最近のホンダ車に共通する、シンプル路線でデザインされています。ファストファッションでいうと、シエンタがGAPやH&Mなのに対し、フリードはユニクロやMUJIといったところでしょうか? どちらも優れたデザインなので、消費者としては好みで選ぶことができますね。とにかく、さっそくフリードのデザインを掘り下げていこうと思います。

まず、ここ数年のホンダデザインは、とにかくシンプルで、デザインの本質を表現しているように思います。過度なモチーフは省き、カーデザインの本質であるプロポーションのよさで勝負しようという感じですね。

その、プロポーションのよさの核となるもののひとつが、踏ん張り感(スタンス)のよさといえますが、このクルマはボディーサイズ、特に全幅を5ナンバーサイズの寸法内に抑えつつも(後述する「クロスター」はちょっとはみ出ていますが……)、どのビューから見てもしっかりしたスタンスが感じられます。これを実現するには、特にタイヤと車体の前後コーナーの位置関係が重要なのですが、このクルマは大きく見せようとかいう邪念がなく、ただいいカタチをつくろうとしているのが見て取れますね。

顔まわりは強い面構成で堂々として見えます。グリルなどに頼らなくても強く見せられる見本だと思いますね。薄い目のようなシグネチャーランプは今のトレンドのひとつですが、これもすごく効果的に顔を引き締めています。

それに比べてリアまわりは、やや物足りないと感じてしまいました。3列目の居住スペースを考えた箱型のシルエットはよいのですが、リアを構成するさまざまなものの比率や仕立てが従来的すぎて、新規性が感じられないのが惜しいところです。同じホンダのミニバンでも、「ステップワゴン」は魅力的なリアデザインだと思うんですけどね。