長期金利、11年ぶり1%まで上昇…住宅ローン固定型金利引き上げの可能性

AI要約

東京債券市場で長期金利が1%まで上昇し、住宅ローンや国の借金に影響を与える可能性がある。

金融緩和策の終了が長期金利上昇につながっており、住宅ローンの固定型金利も引き上げられる見通し。

日銀の政策や市場の変化が今後の長期金利や企業負担に影響を及ぼす可能性がある。

 東京債券市場で22日、長期金利が11年ぶりに1%まで上昇した。長期金利が上昇すれば、住宅ローンの固定型金利が上がり家計に影響するほか、国の借金の利払い負担が増える可能性がある。日本銀行が3月に大規模な金融緩和策を終了し、「金利のある世界」が戻りつつある。

 長期金利は、住宅ローンの固定型金利に連動する。貸し手である大手行は、最近の上昇基調を受け、今月末に発表する6月の固定型金利を引き上げる可能性がある。

 住宅ローン利用者の7割が選ぶ変動型金利は短期金利に連動しており、長期金利の影響は受けない。ただ、日銀が追加利上げに踏み切れば、「変動型の引き上げも検討する」(大手行幹部)との声も聞かれる。

 企業の負担増にもつながる。みずほ証券の丹治倫敦氏は、「企業については、比較的長期の社債発行で、借り換えの際に金利コストが増えることはある」と指摘する。

 今後の長期金利は、日銀の動向に左右される。日銀は3月、国債の大量買い入れで長期金利を低く抑える「長短金利操作」を撤廃したが、市場の混乱を避けるため、撤廃前と同水準の買い入れを実施している。今月13日の国債の買い入れオペ(公開市場操作)では、償還期間が5年超10年以下の買い入れ額を前回オペから500億円減額。これが金利上昇につながった。市場では、日銀が近く本格的な減額に踏み切るとの見方が出ている。

 国の財政に与える影響も大きい。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が21日にとりまとめた建議(提言)では、「利払い費の増加で国債の増発を余儀なくされ、それが更なる金利の上昇を招くようなことになれば、国民生活を悪化させる」と警鐘を鳴らした。