メキシコ、次期政権の財政赤字拡大が格付けリスク=フィッチ幹部

AI要約

メキシコの格付け会社フィッチ・レーティングスのアナリストは、次期政権による財政赤字の拡大や経済成長を損なう可能性、統治体制の劣化など、ソブリン信用格付けを巡る主要リスクを指摘している。

メキシコでは、与党のクラウディア・シェインバウム候補が大統領選でリードしており、財政赤字の増加が懸念されている。

一方で、インフラプロジェクトの支出が終了すれば、財政赤字の拡大は一時的なものに過ぎないとの見方もある。

Anthony Esposito Noe Torres

[メキシコ市 21日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスのメキシコ担当第一アナリスト、カルロス・モラレス氏はロイターに対し、6月2日のメキシコ大統領選で生まれる次期政権について、財政赤字の拡大による公的債務拡大を含め、ソブリン信用格付けを巡る3つの主要リスクを指摘した。

残り2つのリスクとして、経済成長を損なう政策が行われる可能性と、統治体制と法の支配が劣化する可能性を挙げた。

先週の世論調査では、ロペスオブラドール現大統領に近い与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市市長が、対立候補を大きくリードしている。

ロペスオブラドール氏は任期最初の5年間に財政規律を守る政策を行ったが、6年目の今年は財政赤字の対国内総生産(GDP)比率が、昨年と一昨年の4.3%から5.9%に拡大する見通しとなっている。

モラレス氏は「長期的なリスクをもたらしかねない相当に高水準の赤字だ。次期政権であと数年間この状態が続けば、間違いなく信用に悪影響を及ぼす」と述べた。

ただ同氏は、ロペスオブラドール氏が看板政策として進めた製油所建設などインフラプロジェクトの支出が終結するのに伴い、財政赤字の拡大も一過性に終わるだろうと強調した。