中東情勢、大国の指導者交代に焦点シフト-地政学リスクさらに流動的

AI要約

イランのライシ大統領が急死し、後継者の不透明さが注目されている。

中東の指導者交代の不安定さが続き、サウジ国王の健康状態やサウジとの関係が焦点となっている。

中東の状況は不確実性と潜在的な不安定さが増しており、外交の行方が注目されている。

(ブルームバーグ): イランのライシ大統領が急死した。欧米の当局者によれば、西側資本と変革を求めるイランの活動家たちにとっての悪いニュースは、政治的抑圧や米国とその同盟国に向けられる反感の緩和がほとんど期待できないということだ。権威主義体制は引き続き強固で、現状が続く可能性が高い。

ヘリコプターの墜落事故で亡くなったライシ氏は80歳代半ばのイラン最高指導者ハメネイ師を引き継ぐ最有力候補とみられていたが、今や後継者が誰になるのか、またその後継者選びがどのように変わるのか、分からなくなった。

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サウジアラビアではサルマン国王(88)の健康状態が懸念されており、中東を巡っては、大国の指導者交代に焦点がシフトしつつある。イスラエルとハマスの戦争に端を発したここ数カ月にわたる中東の混乱に、新たな不確実性と潜在的な不安定さが加わった。 サウジのムハンマド皇太子は20日から予定していた日本訪問を延期した。

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フォーダム・グローバル・フォーサイトの創設者ティナ・フォーダム氏は20日、「これらの動き全てがあらためて示しているのは、誰も状況をコントロールできないということだ。中東リスクと地政学的リスクに関する議論は極めて流動的だ」とブルームバーグテレビジョンに語った。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が昨年、中東は過去20年のどの時期よりも「静かだ」と述べたのは、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃する前の週だった。米政府はサウジとの防衛協定を推進しているが、イランはこの計画に反発。サウジとイスラエルの関係正常化につながるためだ。

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フォーダム氏は「サウジ国王の逝去で、そうした流れが中断されたりする可能性はあるのだろうか。ノーと言いたいところだが、現在進んでいる外交の歯車が狂いかねない」と話した。