テスラ社内に広がる疑心暗鬼、終わらぬ人員削減に「次は自分の番」

AI要約

米テスラの従業員は、レイオフ通告メールに恐怖を感じながら生活している。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、10%の人員削減計画を実施中で不安が広がっている。

テスラの従業員は未来への不安を感じつつ、劇的な変化に耐え続けている。

テスラ社内に広がる疑心暗鬼、終わらぬ人員削減に「次は自分の番」

(ブルームバーグ): 米テスラの従業員は、「従業員各位」で始まるレイオフ通告メールにおびえながら生活している。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が世界で少なくとも10%の人員を削減する計画を打ち出してから1カ月余りが過ぎたが、その作業はまだ完了していない。不安を抱える従業員の朝は、まだ自分に仕事があるかどうかメッセージをチェックすることから始まる。この計画的な人員削減は少なくとも6月まで続く可能性が高いという。公に話す権限がないとして関係者が匿名で語った。

4月に解雇された元営業担当のマイケル・ミニック氏は「元テスラ従業員の皆さんへ。請求書の支払いができるのかどうか、家族を養っていけるかどうか分からず、薄氷を踏むように毎日仕事をする感覚は想像するだけでも苦しい」とリンクトインに投稿。「不安という灰色の雲が立ち込めることなく、呼吸を整えて仕事に集中できることが分かれば安心だろうに」と記した。

テスラの従業員はここ数年、劇的な変化に耐えてきた。クリーンエネルギーに対する熱狂的ビジョンを持つシリコンバレーのスタートアップだった同社は現在、テキサス州に拠点を集中させ、人工知能(AI)やロボットなど他の事業にも力を注いでいる。従業員の一部は、マスク氏が2万5000ドル(約390万円)のEVよりもロボタクシーを優先させていることで士気を低下させたと語っている。

テスラを飲み込むカオス、マスク氏はロボタクシーの夢に重点シフト

人員削減が終わったという「警報解除」のサインがマスク氏からまだ出ていないため、社内では不安や不眠症についての暗い冗談が交わされるようになっているという。従業員の1人はこうした雰囲気を大ヒットドラマ「イカゲーム」に例えた。同ドラマでは、経済的困難に直面した登場人物たちが命がけのサバイバルゲームに挑む。

人員削減の波はすでに営業、人事、スーパーチャージャー部門などの数千人に及んでおり、年初時点で全世界で14万人以上の従業員を抱えていた同社のかなりの部分に影響するとみられる。