社員16人→200人超に “知名度ゼロ”で新潟に進出したネット広告会社「5年間の成果」

AI要約

JR新潟駅から北西に伸びる大通りを歩くこと5~6分、新潟にあるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)のオフィスは、新潟で最もおしゃれな職場として知られている。

同オフィスでは地元採用の社員が多く、約7割が女性で構成されている。

DACは新潟進出から5年が経ち、現在は東京本社の一部業務を新潟と高知に移管しており、大きな成果をあげている。

社員16人→200人超に “知名度ゼロ”で新潟に進出したネット広告会社「5年間の成果」

 JR新潟駅から北西に伸びる大通りを歩くこと5~6分、背の高いガラス張りのビルにたどり着く。その最上階、「新潟で今、最もおしゃれな職場」との呼び声も高いのが、インターネット広告事業を手掛けるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の新潟オフィスだ。

 明るく広々とした執務エリアに入ると、壁いっぱいに描かれた新潟の風景画や、10人はゆうに入れそうな巨大なテントが目に飛び込んでくる。その付近ではカジュアルな格好の社員がPC画面に向かって黙々と作業をしている。

 リフレッシュスペースには、お弁当を広げて談笑する人たち。とりわけ若い女性の姿が目につく。同オフィスで働く社員のほとんどが地元採用だ。新潟市にはデジタル関連企業が少ないこともあり、大学や専門学校を卒業した若者が多く志望する。新潟オフィスの現在の社員数は200人を超え、うち約7割が女性である。

 DACが新潟市に進出してから5年。その成果を読み解いた。(伏見学)

 「最初の地方オフィス(支社を除く)として、2014年7月に高知オフィスを開設しました。主にデジタル広告のオペレーション業務を担っていますが、ある程度の規模になり、現地の人材マーケットも飽和状態になったことから、新たな拠点を探し始めました」

 DACで常務執行役員を務める貞岡裕達氏は経緯をこう振り返る。候補地選びのポイントとして、BCPの観点から南海トラフ地震のリスクがある太平洋側を外し、日本海側のエリアに着目。当然いくつもの都市が対象になった中で、日本海側で最大の人口約77万人を誇る新潟市を選んだ。

 「人口規模に加えて、大学や専門学校などの教育機関が充実しており、われわれが求めている人材が多いのではと感じました。それと、競合になるデジタル広告系の会社が少なかったのも決め手になりました」

 加えて、新潟県や新潟市が熱心に誘致してくれたことも、DACのオフィス進出に拍車を掛けた。

 19年2月に拠点立ち上げ後、しばらくは高知で行っていたデジタル広告の入稿や進行管理といった業務をシェアして、新潟でも分担作業していた。次第に東京本社から直接移管した業務も増えていき、現在は東京のおよそ5割のオペレーション業務を新潟と高知へ移管している。その中でもメディア各社との調整業務に関しては、当初予定していた業務の約9割を移管済みだ。また、データ分析や中小企業(SMB)領域の営業支援など事業の幅を広げているところである。

 未経験者が多く入社してくる状況の中、DACの全社的な人材育成システムを提供することで、1カ月ほどあれば一人で必要最小限の業務を動かせるレベルになるそうだ。