「三十にして立つ」関西国際空港 開港から30年、地域とともに歩めるか from 大阪社会部

AI要約

関西国際空港は開港30周年を迎え、新型コロナウイルス禍を乗り越えてにぎわっている。

地元エリアも関空と同様に苦労しており、ふるさと納税制度を活用して財政を建て直している。

岸和田市や関空をつなぐ道路整備により、街の発展が実現している。

「三十にして立つ」関西国際空港 開港から30年、地域とともに歩めるか from 大阪社会部

今月4日、開港30年を迎えた関西国際空港。大阪・泉州沖5キロに建設した難工事に伴う巨額の負債、不景気による利用低迷に長年あえいでいたが、今は新型コロナウイルス禍も乗り越え、急増する訪日外国人客の受け皿となってにぎわう。本来の輝きを放つようになった関空の姿に、孔子の言葉「三十にして立つ」が思い浮かぶ。

苦渋の日々を過ごしてきたのは、関空の地元エリアも同じだ。開港による税収増を見込み、都市基盤、施設整備を進めてきた泉佐野市は、税収悪化による財政難に苦しんできた。

財政建て直しに「ふるさと納税制度」に積極的に取り組み、令和5年度は寄付受け入れ額で全国3位。寄付を通じ地場産業を育てる手法も注目され、いまや全国の自治体の手本だ。

岸和田市の丘陵地にも変化が訪れている。かつての開発事業「コスモポリス構想」の跡地では、「ゆめみケ丘岸和田」として宅地や企業用地、農地の整備、自然保全が一体となって開発が進んでいる。

関空とつながる道路整備で発展を期待されたが、一度は頓挫。ようやく街として発展することが実現したわけだ。岸和田市丘陵土地区画整理組合の阪田豊一理事長は「空港とアクセスがつながる場所に人が住み、企業があって発展に貢献できる」と強調する。

交通の要衝たる空港は、人の営みがあってこそ生きる。地域の発展とともに、関空が「不惑」の域に達する10年になることを願うばかりだ。(藤谷茂樹)