「うめきた」効果 大阪・キタの基準地価、上昇幅が拡大 いずれIRも 活性化の継続カギ

AI要約

大阪市の商業地価が急上昇し、再開発による期待感が高まっている。しかし、建築費の高騰などからオフィス供給の先細りが懸念されており、梅田地区の活性化が課題となっている。

キタエリアの商業地価が上昇し、グランフロント大阪などの施設が変わる梅田への期待を反映している。オフィス需要が地価を支えている。

梅田地区ではオフィスの空室率が低く、周辺のビル供給が進んでいるものの、需要が供給を上回る状況が続いている。

「うめきた」効果 大阪・キタの基準地価、上昇幅が拡大 いずれIRも 活性化の継続カギ

国土交通省が17日発表した都道府県地価(基準地価)調査では、人流や消費の高まりを受け、大阪市の商業地は10・6%上昇するなど昨年の5・5%から上昇幅が大きく拡大した。6日に一部エリアが開業したばかりの「うめきた2期(グラングリーン大阪)」など、再開発で変貌を遂げていくJR大阪駅周辺への期待感を反映した形だ。ただ、建築費の高騰などもあって今後のオフィス供給の先細りを心配する声もあり、梅田を中心としたまちの活性化をどこまで続けられるかが課題となる。

大阪圏の商業地の最高価格地点は、全国6位となったJR大阪駅(大阪市北区)周辺のキタに位置する商業施設「グランフロント大阪南館」で、1平方メートル当たり2390万円、前年比3・9%増の上昇だった。再開発が進むキタエリアでは「変わる梅田」への期待が加速し、手堅いオフィス需要などが地価を支える。

平成25年に「うめきた1期」の主要施設として開業したグランフロント大阪に続き、今年9月にはグラングリーン大阪が一部で先行開業。

これに先立ち7月にはJR西日本が新設した駅ビル「イノゲート大阪」や、日本郵便などと開発した「JPタワー大阪」に入る商業施設「KITTE大阪」も開業。抜群のアクセスを誇る一帯でのオフィス供給が加速している。

「梅田地区のオフィスの空室率は依然低い水準にある」。オフィス仲介大手、三鬼商事大阪支店の小畑大太支店長はこう説明する。同社によると、周辺ではオフィスビルの供給が続々と進んでいるものの、梅田地区の空室率は5%を下回る4%台で推移。1坪(約3・3平方メートル)当たりの平均賃料は前年同月比で258円高い1万6055円となっている。

小畑氏は「本来供給が増えると、(より高機能なオフィスへの移転が進むことによる)『二次空室』が増える傾向にあるが、梅田地区では自社ビルの移転などが集中している」と話す。

実際、グラングリーン大阪では、来春開業する南館のオフィスにクボタや塩野義製薬などが本社移転を計画している。

もっとも、ある不動産関係者は「建築費の高騰などもあり、今後は大規模なビル建設は限定されていくだろう。供給量の先細りによるオフィス不足も予想される」と分析する。不動産経済研究所の笹原雪恵・大阪事務所長も「梅田周辺は新たに何か建つという開発は飽和状態だ」と指摘する。