ひとり親が受けられる「給付金」どんなものがある?金額や要件まとめ。申請しないともらえない
児童手当が拡充される中、ひとり親世帯の現状と支援制度について紹介。
ひとり親世帯の経済的な自立を支援するため、就業支援や教育訓練給付金を提供。
具体的な支援内容や支給要件を解説し、母子世帯や父子世帯が受けられる支援を示す。
児童手当がまもなく拡充されることになり、子育て世帯からの注目が集まっています。
一方、ひとり親世帯では、生計を支えるための十分な収入を得ることが難しい世帯も多いことから、児童手当とは別に支援を受けられる可能性があります。
その1つがこども家庭庁と自治体が協力して行っている「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」です。
今回は、ひとり親世帯の現状について紹介するとともに、こども家庭庁が行う支援事業の概要や支給要件などを詳しく解説します。
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厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯数は119万5000世帯、父子世帯数は14万9000世帯あるとのことです。
また、平均年間収入(母又は父自身の収入)はそれぞれ272万円、518万円となっています。
このうち、母又は父自身の「就労収入」は、それぞれ236万円、496万円です。
母子世帯は正社員率が低く、パートやアルバイトとして働く方が多いこともあり、父子世帯に比べて収入が少ない状況にあります。
平均値でこの金額ですから、中には平均以下の収入しか得られていない世帯もあり、生活が困窮している家庭も少なからずあるでしょう。
こども家庭庁では、ひとり親世帯の経済的な自立を支援するため、自治体と協力して就業支援に取り組んでいます。
その中からいくつか紹介します。
●自立支援教育訓練給付金
主体的な能力開発の取組みを支援するもので、対象教育訓練を受講した場合に給付金を受け取れます。
対象者
母子家庭の母又は父子家庭の父であって、現に児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たす方
・児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
・就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること
支給額
(1)雇用保険の一般教育訓練給付または特定一般教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合、最大20万円
(2)雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合、修学年数×40万円、最大160万円(雇用保険法に基づく教育訓練給付金の支給を受けることができる者は、その支給額との差額(下限は1万2001円)を支給。)
対象講座
雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座と、その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座
●高等職業訓練促進給付金等事業
ひとり親が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、6月以上養成機関で修業する場合に、「高等職業訓練促進給付金」と「高等職業訓練修了支援給付金」が支給されます。
対象者
母子家庭の母又は父子家庭の父であって、現に児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たす方
・児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること(ただし、児童扶養手当法施行令(昭和36年政令第405号)第6条の7の規定は適用しない。)
・養成機関において6月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
・仕事または育児と修業の両立が困難であること※平成25年度入学者から父子家庭も対象
支給額・期間
<高等職業訓練促進給付金>
【支給額】
・月額10万円 (市町村民税非課税世帯)
・月額 7万500円(市町村民税課税世帯)
ただし、養成機関における課程修了までの期間の最後の12か月については、
・月額14万円(市町村民税非課税世帯)
・月額11万500円(市町村民税課税世帯)
【支給期間】
修業期間の全期間(上限4年)
※2019年度より、4年以上の課程の履修が必要となる資格を取得する場合、支給期間の上限は4年
<高等職業訓練修了支援給付金>
【支給額】
・5万円(市町村民税非課税世帯)
・2万5000円(市町村民税課税世帯)
【支給期間】
修了後に支給
対象資格
就職の際に有利となるものであって、かつ養成機関において6月以上のカリキュラムの修業が予定されているものについて都道府県等の長が指定したもの
例:看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格等