「誰もが成功するチャンスを」「アメリカを再び偉大な国に」ハリス氏とトランプ氏 経済政策の方向性はどう違うのか【Bizスクエア】
ハリス氏とトランプ氏はUSスチールの買収を巡って異なる立場を表明しており、労働者支持を図っている。米国の経済政策においても、インフレ対策や税負担の観点で異なるアプローチを持っている。
トランプ氏はエネルギー生産の増加によるインフレ抑制を主張している一方、ハリス氏は食料品価格の値上げを禁止する法律制定や住宅価格の下落を目指す政策を打ち出している。
税負担に関しては、トランプ氏は法人税率引き下げなどの措置を提案しており、2人の経済政策の違いが明確になっている。
ハリス氏とトランプ氏2人が掲げるインフレ対策や関税などの経済政策の違いを検証する。
■日本製鉄のUSスチール買収 バイデン氏が中止命令か
ハリス副大統領:
USスチールは米国で所有されるべきだ。私は常に鉄鋼労働者たちの側に立つ。
アメリカのハリス副大統領は9月2日、日本製鉄によるUSスチールの買収に反対を表明した。トランプ前大統領も8月に「基幹企業を日本に渡してはならない。USスチール自身で再建するべきだ」と表明。
USスチールが本社を置くペンシルベニア州は、大統領選の結果を左右する激戦州で、ハリス氏とトランプ氏のこうした発言は、労働者層の支持拡大を図る狙いがあるとみられる。買収を巡っては、バイデン政権が、近々に買収中止命令を出す可能性があると複数のメディアが報じている。
政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、激戦7州の世論調査の支持率は9月6日時点でハリス氏が47.7%、トランプ氏が47.5%とほぼ互角だ。
■経済政策の違いを検証 インフレ・税負担・関税
2人の経済政策の方向性はどう違うのか。まず「インフレ対策」。
トランプ前大統領:
我々の地下にはどの国よりも大量のエネルギーが眠っていて、それで大金を作ることが出来る。掘って掘って掘りまくれ!
トランプ氏は、国内の石油や天然ガスの生産を増やすことでエネルギーの価格を下げ、インフレの抑制に繋げると強調する。
ハリス副大統領:
食料品価格の不当なつり上げを禁止する初の連邦法制定に取り組む。
ハリス氏は、企業による食品の不当な値上げを禁じる法律の制定や、300万戸の新築住宅を建設し、住宅価格を下げることなどを打ち出した。この政策にトランプ氏は「カマラ・ハリスは社会主義的な価格統制を導入したいと発表した。うまくいかないのは決まっている」と批判した。
続いて「税負担」。
トランプ前大統領:
研究開発に関する税控除を拡大するほか、米国で製品を製造する企業を対象に法人税率を21%から15%に引き下げる。