新型ポルシェ・カイエンGTSはV8の魅力を存分に味わえる1台だった マルチシリンダーゆえの高性能SUVに迫る

AI要約

新しいポルシェ「カイエンGTS」に島下泰久が試乗した。オンロード性能を極めた最新SUVをリポート。

非ハイブリッドの最高性能モデルであるカイエンGTSのスペックや改良点、カイエンSとの比較。

カイエンGTSのスポーティな外観やインテリア、性能向上のポイントを紹介。

新型ポルシェ・カイエンGTSはV8の魅力を存分に味わえる1台だった マルチシリンダーゆえの高性能SUVに迫る

新しいポルシェ「カイエンGTS」に、島下泰久が試乗した。オンロード性能を極めた最新SUVのリポートを綴る。

昨年、大幅な改良を受けて登場した新型カイエンの日本仕様では、先代にあった最強モデルのターボGTの設定が見送られた。よってラインナップの最高峰はシステム最高出力739psを誇るカイエンターボEハイブリッドということになった。

では、非ハイブリッドでもっとも高いパフォーマンスを誇るモデルはと言えば、遅れて追加されたカイエンGTSとなる。そのエンジンはお馴染みのV型8気筒4.0リッターツインターボで、最高出力は500ps、最大トルクは650Nmを発生する。0~100km/h加速タイムは4.4秒である。改良前のモデルでは460ps、620Nmというスペックで、0~100km/h加速は4.5秒とされていたから、確かにしっかり速くなっている。

気になるのは、むしろカイエンSとの関係だ。実は現行モデルではカイエンSのエンジンも従来のV型6気筒2.9リッターツインターボから、基本は一緒のV型8気筒4.0リッターツインターボへと改められている。そちらのスペックは474ps、600Nm。0~100km/hは4.7秒と十分に強力で、数値上の差は決して大きくはないのだ。

ではGTSの価値は一体何か。それは、これまで通りオンロード性能により特化したフットワークと、スポーティなルックスということになる。

そもそもベースのカイエン自体、昨年の改良の際に4灯式のモチーフを使った新デザインのマトリックスヘッドライトの採用などによってグンと精悍になったルックスを手に入れている。その上でGTSはフロント開口部の拡大、ダークティンテッド化された前後のライトまわり、各部のハイグロスブラック仕上げなどによって、装いは一層スポーティになった。

意外なのは、ホイールアーチエクステンション、サイドスカートといった従来はボディ同色だった部分が、今回敢えてブラック化されている点だ。もちろん、それはオフロードテイストにしたいわけではなく、まさに各部をブラックでまとめたGTSのキャラクターを、一層強調したいということなのだろう。もちろん、オプションでボディ同色を選ぶことも可能である。

タイヤサイズも注目だ。カイエンGTSが装着しているのはフロントが285/45ZR21、リアが315/40ZR21。これ、改良前のモデルではフロントが285/40ZR21、リアが315/35ZR21だった。新型は外径が若干大きくなっていて、これが足元を一層力強く見せているというわけだ。

やはり先般の改良時にフードレスのメーターデザインが採用されるなど大きく刷新されたインテリアも、やはりGTSの定番と言えるテイストでまとめられている。全体のコーディネートはもちろんブラック基調。360mm径のステアリングホイールはバックスキン調の合成皮革であるRace-Tex巻きとされ、サポート性を強めたGTSスポーツシートも標準とされる。