小泉進次郎氏が脱ポエムで「和製オバマ」に?「決選投票→首相誕生」シナリオが濃厚なワケ

AI要約

小泉進次郎氏が出馬記者会見で和製オバマとして注目を集める

小泉氏が総裁選挙で勝利し、首相になることで政治改革と人生の選択肢を拡げる改革を実施する意向を示す

小泉氏の政策には懸念すべき点もあるが、注目を集める活動を展開中

小泉進次郎氏が脱ポエムで「和製オバマ」に?「決選投票→首相誕生」シナリオが濃厚なワケ

● 出馬記者会見はほぼ満点 「和製オバマ」になった小泉進次郎

 9月6日、筆者は、小泉進次郎元環境相(43)の出馬表明会見を見ながら、2021年9月3日、小泉氏が首相官邸を訪ね、当時の菅義偉首相(75)に、総裁選挙への出馬見送りを進言し、涙を流したシーンを思い出していた。

 菅氏との面会後、筆者ら報道陣に囲まれた小泉氏が、「(菅)総理は批判されてばっかりでしたけど、こんなに仕事をした政権はない。1年でこんなに結果を出した総理はいない」と述べたうえで、「(菅総理は)懐が深い方で、息子みたいな年の私に、退くという選択肢まで含めて話をする。感謝しかない」と涙ぐみながら語った場面である。

 あれからおよそ3年。小泉氏は、自民党総裁(つまりは次期首相)の椅子を争う権力闘争のど真ん中に身を投じた。そして今、第102代内閣総理大臣の地位に最も近い位置にいる。

 「出馬会見、思った以上にインパクトがあったね。菅さんや菅さんに近い官僚が作ったものだとしても、若々しさだとか刷新感だとか、政策の実現性はともかく、予想以上だったよ」(石破茂氏を支持する閣僚経験者)

 「誰に投票するか決めていない若手の議員は、あの記者会見を見て、心を動かされるかもしれませんね」(旧安倍派衆議院議員)

 小泉氏の出馬会見の後、自民党内からは、さっそくこんな声が聞かれたが、これまで、「小泉氏は、所詮、菅氏の影響力を後ろ盾にしているだけの天才子役で、とても、米中ロなど海千山千の政治リーダーとはわたり合えない」と酷評してきた筆者でさえ、小泉氏が会見の中で「自分の気持ちに素直に生きられる国を作る」や「日本社会にダイナミズムを取り戻す」とうたい上げた部分には、思わず胸が熱くなった。

 演説で、集まった聴衆に「明るい未来」を想像させるストーリーテリング(データよりも、体験談やエピソードを交え、物語として伝える話法)の名手と言えば、アメリカのバラク・オバマ元大統領が代表格だ。

 小泉氏は、あの出馬会見で、働く人たち、なかでも子育てと家事に追われる世代に、「これからはきっと良くなる」というイメージをストーリーテリングで語る「和製オバマ」になったと実感した。

● 小泉氏が試される 「首相としての器」

 もちろん、小泉氏の会見内容には、評価できる点もあれば、「?」をつけたくなる部分も多々ある。

 まず、評価できる点は、小泉氏が総裁選挙で勝利し首相になれば、早期に衆議院の解散・総選挙に踏み切り、政治改革と規制改革、そして、働き方など人生の選択肢を拡げる「3つの改革」を1年以内に実施すると訴えた点だ。

 この部分は、在任期間わずか384日の間に、携帯電話料金値下げ、デジタル庁の創設、不妊治療への保険適用などを実現させた菅氏の功績とかぶる。

 また、政党が所属議員に支出する「政策活動費」の廃止に言及し、「聖域なき規制改革」として、個人が自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁や選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると約束した点も評価していいだろう。

 これは、「自民党をぶっ壊す」や「聖域なき構造改革」を政策の中心に据えた父親の小泉純一郎元首相を彷彿とさせるものだ。

 その小泉氏は、9月7日、東京・銀座で遊説をスタートさせた。銀座での第一声は、来たる解散・総選挙を視野に入れたものだろう。

 小泉氏の頭の中には、「総裁選勝利→首相就任→解散・総選挙」の流れが浮かんでいるのかもしれないが、小泉氏が唱える政策には懸念すべき点も多い。