【日本市況】株式が小幅高、米CPI前に上値重い-ドル143円台前半

AI要約

日本市場は小幅高で、円相場や米国株高が支えとなった。利下げ幅の焦点となる中、利下げが遅れて景気後退リスクが懸念されている。

株式市場ではテクノロジー株や銀行株が上昇し、食品セクターなど割安感のある銘柄も物色されている。個別では第一三共株が急落した。

金融政策決定を控えて本格的なリバウンドは先送りされそうで、株価は神経質な展開が続く可能性がある。

【日本市況】株式が小幅高、米CPI前に上値重い-ドル143円台前半

(ブルームバーグ): 10日の日本市場は株式相場が小幅高。為替の円高一服や前日の米国株高を支えにハイテク株や銀行株が高い。ただ買いの勢いは乏しく、指数は下げに転じる場面もある。円相場は1ドル=143円台前半で推移し、債券は先物が小幅に上昇している。

来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が目先の焦点となる中、あす11日に8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて市場参加者は身動きを取りにくくなっている。前週末の米雇用統計の発表後、金利スワップ市場で大幅利下げの確率は低下したものの、利下げが遅れて景気後退リスクを高めることへの懸念も根強い。

大和証券の谷栄一郎チーフストラテジストはリポートで、9月は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と50bpのどちらの利下げが正解か分からない状況だと説明。物価の鎮静化で注目度がやや低下していた米CPIが、今回は一転して利下げ幅を占う重要指標になったと指摘した。

株式

東京株式相場は小幅上昇。為替の円高一服を受けて半導体関連などのテクノロジー株が買われている。米国の金融株高が追い風となる銀行のほか、陸運やサービス、食品など内需関連も堅調。

楽天投信投資顧問第二運用部の平川康彦部長は、短期的な割安感から買いを入れる投資家もいると話す。物色の対象が食品セクターなど業績や株価の変動が比較的小さい銘柄にシフトしていると述べた。

個別では第一三共株が急落。英アストラゼネカと共同で開発中の肺がん治療候補薬の臨床試験結果が悪材料視され、約1カ月ぶりの日中下落率となった。ジェフリーズ証券による格下げを受けてコーセー株も安い。 筆記具のパイロットコーポレーション株は野村証券が投資判断を新規に「買い」とし、反発している。

東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、来週に日米で金融政策決定を控えて本格的なリバウンド局面に入るのはまだ先だろうと指摘。株価は当面神経質な展開で落ち着かないのではないかとみていた。