【スズキ Vストローム250SX 試乗】「小・少・軽・短」+「美」でスズキらしさ全開…伊丹孝裕

AI要約

2017年に誕生したVストローム250SXは、Vストローム家の末っ子として新たに登場。スリムでシャープなデザインやパワフルな性能が特徴で、乗り心地は快適で取り扱いやすい。

249ccの単気筒エンジンは26ps/9000rpmの最高出力を発揮し、中回転域での走行が心地よい。低回転域では穏やかな走りを見せ、高回転域ではダイナミックな加速を楽しめる。

ワインディングではスポーツバイクとしての醍醐味を味わえ、姿勢変化や高いパンチ力が特に際立つモデルである。

【スズキ Vストローム250SX 試乗】「小・少・軽・短」+「美」でスズキらしさ全開…伊丹孝裕

前回記した『Vストローム250』の試乗記では、その有り様を「よそはよそ。うちはうち」という昭和のおかん的スタンスで作られている、と評した。そんなVストローム250は2017年に誕生し、以来、言われても気づく人は少ない「髪、切った?」くらいの微妙な仕様変更で今に至っている。

Vストローム家の末っ子として、のびのびと育っていたわけだが、2023年夏、おかんが突然連れてきた弟が『Vストローム250SX』である。Vストローム家は少々複雑で、中国生まれの兄に対し、やや歳の離れたこの弟はインドで生まれている。体つきは全然異なり、兄が包容力のあるどっしり型なら、弟はすっきりシャープなスリム型。そして、イケメンである。

シート幅もスリムとはいえ、平均的な日本人成人男性なら両足のかかとを接地させるのは困難だが、アップライトな乗車姿勢のおかげで取り扱いは簡単だ。車重は164kgを公称し、特別軽量な部類ではないが、Vストローム250比では27kgも軽く、その差の多くをコンパクトなエンジンが担っている。

Vストローム250SXには、油冷の4サイクル単気筒が搭載され、動弁系はSOHC 4バルブ。249ccの排気量から26ps/9000rpmの最高出力と、2.2kgf・m/7300rpmの最大トルクを発揮しながら、はつらつと回る。

とはいえ、回すことを強要してくるキャラクターでもなく、中回転域で普通に走らせている時が心地いい。5000~6000rpm前後を行ったり来たりさせるとバイブレーションがグッとまろやかになり、単気筒であることを忘れるくらいスムーズだ。たとえば、6速80km/h巡航時の回転数は5000rpmほどだが、Vストローム250だと6000rpmまで回っている。2気筒よりも単気筒のVストロームSXの方が、常用回転域が低く、ともすれば穏やかに感じられるほど、存在を主張してこない。

スリムで背が高く、スタイリッシュでおとなしいこの弟君は、どこまでもそのままかと言えば、そんなこともない。豹変とまでは言わないまでも、8000~9000rpm超のあたりでは軽く吠えはじめ、パンチに富むキック力でぐんぐん加速していく。目線は高く、姿勢変化が大きいことも手伝って、その時の体感速度はなかなかダイナミックだ。ワインディングでは、スポーツバイクとしての醍醐味を存分に味わうことができるに違いない。