不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア! ハイコンプ化の目論見が外れたエンジンをアップデートします!【vol.15】

AI要約

ジェネレーターコイルの配線を間違えて接続したことによる問題が解決された。

ピストン交換による高圧縮化に成功した際の手順と苦労が記載されている。

ヘッドを外してピストンとシリンダーのクリアランスをしっかり確認し、加工を行った様子が描かれている。

不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア! ハイコンプ化の目論見が外れたエンジンをアップデートします!【vol.15】

 元々6Vのホンダ「ベンリイC92」用ジェネレーターコイルを12Vにするべく、コイルを2個から3個に繋ぎ変えましたが、エンジンの回転を上げても発電電圧が12Vを超える事は無く、ヘッドライトを点灯するとバッテリーからの電圧が11Vを切ってしまう状況。

 電装のプロフェッショナルである弊社社員のS氏が入社する前に自分で加工した部分でもあったので、アヤシイとは思っていましたが、ジェネレーターコイルを外して未加工の「ベンリイCD125」用ジェネレーターコイルと配線図をS氏に渡して検証してもらったところ、追加したコイルを逆向きに繋いでいた事が判明しました。

 コイルには布が巻かれていて見た目には巻き方向が判らないので、繋がれていた配線の色を配線図で確認して判別するべきでした。

 今度はS氏に確実に繋ぎ直してもらい、不具合は無事に解決です。

 現在の一番の問題は9.2kg/cm2しかない実圧縮で、せめて10.5㎏/cm2以上、出来れば11㎏/cm2から12㎏/cm2くらい欲しいところです。ちなみに銅ガスケットによるハイコンプ化によって絶好調なホンダ「CB250RS」の実圧縮は12.5㎏/cm2でした。

 150㏄へのボアアップにあたり、ホンダ「スーパーカブC70K」用の1.25mmオーバーサイズで外径48.25mmのピストンを使用しましたが、シリンダーヘッドへの干渉を避ける為にショルダー高に余裕を持ち過ぎた事が要因と思われます。

 そこでもっとピン上の高いピストンを探した結果、外径が同じ48.25mmで、同じくTKRJ製のホンダ「XR80」用0.75mmオーバーサイズピストンが見つかりました。

 ピン上は0.5mm程度高く、ほぼフラットな形状の為、そのままではショルダー部がシリンダーヘッドに当たってしまうので、ピストントップ外周を旋盤で切削する事で逃がせば、高圧縮化が狙えそうです。

 呼び径は同じ48.25mmとは言え大きい様ならホーニングで穴径を拡大、逆に小さければスリーブを入れ替えて再度ボーリングし直しとなりますが、これは手元にピストンが無ければ確認のしようがありません。

 早速購入して確認すると、ショルダー部の肉厚は充分で、思った通り切削しても強度的な心配は無さそうで、心配だったピストン径はスーパーカブC70Kと比べて0.01mm小さいのですが、シリンダーとのクリアランスは0.06mmと許容範囲だった為シリンダーは無加工で行ける事が判り一安心。

 ヘッドを外した状態で上死点でのスーパーカブC70K用ピストンショルダーとヘッドまでの距離を測って、切削する深さを決定し、汎用旋盤担当の天野技師にショルダー部の逃がしをお願いしました。