サーキット派の鉄板ブレーキアイテム! 大枚叩いても2ピースローターを選ぶメリットとは

AI要約

ブレーキパッドとブレーキローターが発生する熱について、高温時の対応や2ピースローターのメリットについて説明。

2ピースローターの構造やメリットについて詳細に解説。

アフターパーツメーカーによる1ピースローターと2ピースローターの選択肢について考察。

サーキット派の鉄板ブレーキアイテム! 大枚叩いても2ピースローターを選ぶメリットとは

 ブレーキは回転するローターをパッドで挟み、そこで摩擦を発生させて減速する。そこで熱が発生するのはシステム上どうしても避けようがない。簡単にいうと、スピードを熱に変換して相殺しているともいえる。

 そんなブレーキ関連で問題になるのがその熱だ。ブレーキパッドとローターは、サーキットで使用するととんでもない温度になる。街乗り程度ではせいぜい100~500℃程度がいいところだが、サーキットでは700℃を超えることも珍しくない。レースでブレーキローターが赤くなるほど発熱しているときにはそれ以上になっている。

 なので、レース用のブレーキパッドなどは、それほど高温になったときにも対応できるように作られている。パッドは金属成分を増やして炭化しにくくし、ガスも発生しにくいようにしてフェード現象を防ぐという工夫がされているのが一般的。

 ここで問題になるのがローター側だ。ローター自体は鋳鉄製なので1000℃以上になっても溶けてしまうことはない。だが、熱膨張ばかりは避けられない。高温になることで鉄は膨張するからだ。ただこれも、均一に膨張してくれればまだよいが、なかなかそのようにコントロールすることは難しく、サーキットに1回行っただけでブレーキローターが歪んでしまう……なんてことも珍しくない。

 なので、「いかにその熱膨張を上手く吸収するか?」というところから生まれたのが、フローティングマウントだったり、2ピースローターと呼ばれるブレーキローターだ。

 簡単に構造を説明すると、通常のブレーキローターはひとつの部品として鋳鉄で作られる一方で、それをあえてふたつに分けるのが2ピースローターだ。パッドと擦れるディスク部分だけを別パーツで作り、ベルハウジングと呼ばれるハブと密着する中心部とディスクをネジで固定する仕組み。要するにふたつのパーツから構成されているということになる。

 2ピースローターのメリットはふたつ。

 まずは、パッドと擦れる部分だけを別パーツとすることでそこだけが熱膨張するようになる。ブレーキディスクは円盤なので、熱膨張しても均一に大きくなって歪みにくくなる。そして、このベルハウジングとローターの接合部にある程度の隙間を持たせたりすることで、熱膨張を吸収できるようにしている。がっちりと固定すると温度が低いベルハウジング部はそれほど膨張せず、ローター部だけが膨張していくので、その差によって歪みやすい。それを防ぐことができる。

 もうひとつのメリットは、ベルハウジング部はそれほど耐熱性が必要とされないので、鋳鉄ではなくアルミで作ることができる。これによりバネ下重量を大幅に低減することができるのだ。

 さらにユーザーメリットとしては、ローターが摩耗してもその部分だけ交換し、ベルハウジングは再利用できるのでランニングコストを下げることができるのもメリット。

 2ピースローター自体は高価だが、サーキット走行などでローターが減りやすく何度も交換するのであれば、ローター部だけ交換できる2ピースモデルのコスト的なメリットが生まれてくるのだ。

 現在、アフターパーツメーカーでは、1ピースローターと2ピースローターの両方をラインアップしている車種も多い。サーキットをガンガン走らないなら2ピースローターにするコスト的なメリットはあまりないが、それでもバネ下重量を軽くできるという利点はある。そういう意味で街乗りメインでも2ピースローターを選ぶのも悪くない。