定時制高校“減少”…増える不登校児童が「行き場を失う」、通信制は代役になれない?

AI要約

不登校児童が増加する9月に入り、定時制高校の閉校が問題となっている。全国の定時制高校数が減少しており、不登校や就労が難しい学生の支援に影響を与えている。

定時制高校の間引きは10年で約7%減少し、2023年までに621校から4791校に減少している。閉校される定時制高校数も増加しており、少子化以外の要因も考慮すべきだ。

神奈川県内の定時制高校の一つ、2025年で閉校するA校の先生によると、閉校の背景には定員割れや生徒数の減少だけでなく、その根本的な理由を見直す必要があると指摘されている。

定時制高校“減少”…増える不登校児童が「行き場を失う」、通信制は代役になれない?

 9月に入り、夏休みを終えた学生は新学期を迎えているが、この9月というタイミングは不登校児童が多くなる時期でもある。実は、不登校児童の数は小中学校において、この10年で約19万人も増えた。その一方で、不登校経験者のセーフティーネットとしての役割を担う、全日制とは異なる時間帯で授業を受けられる定時制高校の数が大きく減っている。不登校経験だけでなく、障がいを持つ、就労が必要など、何かしらの理由で全日制に通うことが難しい学生の行き場が失われているのだ。半面、生徒数・学校数を増やしているのが、通信で授業を行うN高といった通信制高校だが、「定時制の代わりは務まらない」深刻な理由もある。閉校に直面する教師やその現場を取材した。

 「実は本校、2025年度が最後の新入生募集で、2030年3月で閉校するんですよ」。そう教えてくれたのは、神奈川県にある定時制高校(以下、A校)の先生(B先生)である。

 A校との縁ができたのは2017年のこと。物流ジャーナリストを表看板に掲げる筆者が当時、物流に関する授業を初めて行った。これをきっかけに、知己の倉庫会社に対してインターンシップや就職を斡旋する関係が続いてきた。

 現在、神奈川県内には、24校の定時制高校がある(注1)。そのうち、6校が2025年4月を最後に、募集を停止し、閉校される。だが定時制高校の減少は、神奈川県内に限った話ではない。

注1)

以下、生徒数、学校数等の数字は学校基本調査より出典

 2013年、全国で669校あった定時制高校(全日制との併置を含む)は、2023年には621校に減っている。10年間で約7%の定時制高校が閉校したことになる(図1)。

 全国の高校(全日制・定時制の合計)に関して言えば、2013年から2023年の間でマイナス190校、4791校まで減少した。割合で見れば約4%の減少だ。少子化によって学校の数が減っている、との見方は妥当だろうが、定時制高校は倍近いペースで閉校していることになる。

 「たしかに、当校も含め、神奈川県内の定時制高校は、ここ10年、ずっと定員割れが続いています。ただし、『だから閉校せざるを得ない』というのは、間違っているのではないでしょうか?」。これは、B先生の言葉だ。