“物言う株主”から創業家が脅かされ…小林製薬・猛毒会長(84)が目論む「MBOで非上場化」《紅麹サプリで死者100人》

AI要約

小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害が続出し、死者数は100人に上る。創業家のトップ2人が引責辞任するも、その意図には疑問が残る。

小林製薬の創業家である小林一雅氏と小林章浩氏が辞任し、後任には山根聡専務が昇格。しかしながら、小林家が会社を支配し続ける構図に変化はない。

小林製薬は財務内容が良好であり、一雅氏の影響力は根強いままであることが示唆されている。

“物言う株主”から創業家が脅かされ…小林製薬・猛毒会長(84)が目論む「MBOで非上場化」《紅麹サプリで死者100人》

 小林製薬の紅麹サプリメントで健康被害が続出している問題。因果関係が疑われる死者は100人にまで膨らんでいる。先日、創業家のトップ2人が引責辞任を発表したものの、額面通りには受け取れないようだ。

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 長年、小林製薬のドンとして君臨してきたのが、7月23日付で会長を辞任し、特別顧問に就いた小林一雅氏(84)だ。「ブルーレットおくだけ」のCMで有名なあの芳香剤などを相次いでヒットさせ、1976年から2004年まで社長を務めた。その一雅氏の長男で、8月8日付で辞任するのが、小林章浩社長(53)。ただ、「ボンボンの章浩氏は一雅氏の傀儡。社長交代会見も『僕は出たくない』と漏らしている」(同社関係者)という。

「その構図は、一雅氏に支払われる特別顧問としての報酬からも窺えます。規定では通常の顧問は任期2年で報酬は月50万円ですが、一雅氏は任期3年で月200万円。文字通り『特別』な扱いなのです」(同前)

 章浩氏の後任には、山根聡専務(64)が昇格。「創業家以外が初めてトップに就く」とも喧伝されるが、

「そもそも現在も小林家が大株主で、会社を支配している構図に変わりはありません」(メガバンク幹部)

 7月31日時点の筆頭株主(11.87%)は章浩氏、第3位の株主(7.69%)は一雅氏が理事長の小林財団だ。章浩氏の保有株式の時価は約558億円で、小林財団は約361億円に及ぶ。また、昨年度の年間配当金は101円のため、章浩氏は1年で約9億3000万円の配当金を得た形だ。さらに役員報酬も「億だけ」で、昨年度は章浩氏が1億100万円、一雅氏は3億2300万円に上る。

「章浩氏は役員報酬の一部を返上すると発表しましたが、一雅氏は返上していません。小林製薬は無借金で社債残高もない。現預金や有価証券が約1100億円あり、財務内容も良好です。逆に言えば、融資銀行からの圧力(デットガバナンス)が働かない。今後も、大株主、とりわけ一族の中心である一雅氏の影響力は強いままなのです」(同前)