米SEC、投信に毎月の運用資産報告義務化 透明性向上狙う

AI要約

米SECは運用資産報告の頻度を毎月に変更する規則改正案を採択した。

報告頻度の増加は投資家が保有資産を監視しやすくなり、市場全体の動向も可視化される。

一方、規則改正による市場参加者のコスト増加や情報量の妥当性には不安の声も上がっている。

米SEC、投信に毎月の運用資産報告義務化 透明性向上狙う

Douglas Gillison

[ワシントン 28日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は28日、投資信託などの透明性向上を目的として、運用資産報告の頻度を四半期ごとから毎月に増やすことを義務付ける規則改正案を採択した。

現行の規則では、登録資産運用会社はSECに対して各四半期末から60日以内に運用資産内容を報告する必要がある。ただ投資家は、当該四半期の最後の1カ月分のデータしか得ることはできない。

一方改正後は、毎月末から30日以内にSECへ報告し、その報告がさらに30日後に公開される。

SECのゲンスラー委員長は、報告頻度を増やすことで投資家が自身の保有資産を監視し、投資の重複を判定するのに役立つし、SECにとってはトレンドがより可視化され、市場が緊張した際の対応余地が広がると説明した。

ただSECの共和党の委員2人は、投資家と当局にもたらされるメリットよりも、規則改正に伴って市場参加者にかかるコストの方が大きいとの理由で反対した。

米投資信託協会(ICI)も、求められる情報量や、SECが過去にデータ保全義務違反をした点などを踏まえると、報告頻度増加の妥当性には疑問があるとの見解を示した。

またSECは、1日単位での解約に応じなければならない可能性があるオープンエンド型ファンドの流動性管理の取り組みを定めた既存の規則について、順守徹底を促すための指針を発表した。

これは当初の「スイングプライシング」導入義務化を見送ったことに伴う措置。スイングプライシングは、解約者向けの基準価格(NAV)を調整し、ファンド投資を続ける人との負担公平化を図るものだが、業界が導入に強く反対していた。