「予想外」のことができる「異端」になれ…”前人未到の結果”を出すために欠かせない「起業家の発想力」

AI要約

アントレプレナーシップにおいて、成功体験に囚われず自分の夢に忠実であり、常識の枠からはみ出すことが重要である。

異端者やはぐれ者が時にビジネスにおいて重要な役割を果たすことがあり、組織内においてもその存在が重要視されることがある。

常識にとらわれず行動し、失敗を恐れずに挑戦することが、起業家精神の根幹である。

「予想外」のことができる「異端」になれ…”前人未到の結果”を出すために欠かせない「起業家の発想力」

近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。

本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。

『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第49回

『成功体験は「大きな罠」…“囚われる”のではなく“活用”する! 「老害になる人」に「足りない精神」とは』より続く

事例を重視して、失敗しないことを美徳とするスタイルを貫く人もいます。仕組みが出来上がったビジネスを拡大するような場合、そのスタイルが有効なことがあります。いわゆる「正統派」のスタイルです。

周囲の意見を大事にして、最大公約数の意見でビジネスを進めていく。事業拡大型のビジネス、その段階にある企業では極めて有効でしょう。ビジネスを足し算で考えていく。

しかし、企業の寿命、事業の寿命を考えると、それだけでは経済社会は成り立ちません。過去の成功体験に囚われず、自分の夢に忠実で、周囲の意見を聞く一方で、最小公倍数を考える。ビジネスを掛け算で考えていく。

後者の人は、組織の中では異端児と呼ばれます。組織の枠の中には収まっていない人。そういう人は、フリーランスで働いていたり、アントレプレナーとして活動していたりします。

また、大企業の中には、一定数の「異端」を社内においているケースがあります。ふだん企業は彼らに期待していません。しかし、危機に陥ったとき、あるいは危機が予想できるようなときの、彼らの発想、行動に期待しているのです。

ハリウッド映画を見ていると、世界の危機を救うのは、はぐれ者であるケースが珍しくありません。予想外のことが起こるような状況下では、はぐれ者たちのほうが、慌てずに立ち回り、結果を出すわけです。

本来、日本人はそういう話が好きです。判官贔屓という言葉があるように、力がある正統な存在よりも、それに劣るけれど立ち向かっていくものに共感する傾向があります。

高校野球を見ていても、強豪校よりもそれに立ち向かう普通の高校に肩入れする層が一定以上存在します。本能的に気がついているのかもしれません。「正統派」は、正しいけれど、それ故に「予想外」のことはできない。過去に囚われているので、それ以上の結果は出せない。過去に例のない結果を出すことができるのは、想定外の存在、「はぐれ者」「異端」だけなのです。

だから、私は「一歩、踏み外せ」と言うのです。起業家にとって大切なこと、第一は「一歩、踏み出す」ことです。行動すること。次が「一歩、踏み外せ」です。失敗することでこそ、成長する。失敗はマイナスではないのです。そして、常識の外に出ること。「一歩、はみ出せ」です。常識の枠に囚われない。過去の成功体験に縛られない。それが起業家の精神なのです。