心臓疾患専門病院「ベテスダクリニック」運営のアブラハムクラブ(宮崎)が民事再生法の適用を申請

AI要約

医療法人社団アブラハムクラブが民事再生法の適用を申請し、債務超過に陥った経緯を明らかにした。

創業者の死去やコロナ禍による患者離れなどが影響し、債務超過が拡大している状況が報じられた。

再建方針として、(医)桜十字の支援を受ける方向で進められることが示された。

 医療法人社団アブラハムクラブ〈TDB企業コード:880213127、資産の総額0円(債務超過額2億2741万円)、都城市年見町23-12、理事長角田修氏〉は、8月23日に宮崎地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。

 申請代理人は三森仁弁護士(あさひ法律事務所、東京都千代田区丸の内2-1-1、電話03-5219-2011)ほか2名。監督委員には、年森俊宏弁護士(年森法律事務所、宮崎市旭1-7-12、電話0985-20-5526)が選任されている。

 当法人は、1988年(昭和63年)8月創業、91年(平成3年)3月に法人改組された心臓疾患病院「ベテスダクリニック」の運営業者。2001年2月にはMRIやCT、ICU、リハビリテーション室を完備した新棟を増設するなど、当初は先進的な診療体制が評価されて診療件数が増加し、2002年3月期には年収入高約8億6600万円を計上していた。

 しかし、その後は周辺病院も先進設備を備えて競争が激化したほか、創業者が体調を崩して2017年に死去した前後から診療件数が落ち込み、2018年3月期の年収入高は約6億2800万円にとどまり、約4400万円の当期純損失を余儀なくされた。

 新たな理事長を迎え入れた後もコロナ禍で患者の診療離れが鮮明となったため、全国で50以上の調剤薬局を経営する寛一商店(株)(京都市中京区)の傘下に入り、立て直しを図ったが、医師不足や医療従事者の離職などが重なって2024年3月期の年収入高は約4億5200万円にとどまり、当期純損失は約2億4000万円と赤字額が拡大、同期末で約2億2700万円の債務超過に陥った。

 事業環境に改善が見られない中、当社を支援していた寛一商店(株)も調剤併設型のドラッグストアとの競争や薬価引き下げ、過去の買収に伴う借入金負担などで資金繰りが悪化し、グループ8社とともに2024年7月26日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請、当社も連鎖する格好となった。

 負債は2024年3月期末時点で約12億800万円。

 今年の国内病院の倒産は4法人目で、負債額は最大。なお、現在も営業は継続中で、8月27日に開催された債権者説明会では、新たに(医)桜十字(熊本市南区)の支援を前提とした再建方針が示された。