埼玉県内企業のメインバンク、川口信金が8位にランクアップ 営業範囲拡大が要因 埼玉経済ウォッチ

AI要約

埼玉県内企業のメインバンク調査結果を公表。埼玉りそな銀行がトップのシェア28.5%を獲得。

金利上昇や企業倒産の増加が懸念される中、金融機関の動きが注目される。

メインバンクとの関係性がさらに重要性を増し、金融機関の多角的な役割が問われる展開。

埼玉県内企業のメインバンク、川口信金が8位にランクアップ 営業範囲拡大が要因 埼玉経済ウォッチ

東京商工リサーチ埼玉支店では令和6年の埼玉県内企業のメインバンク調査を実施した。東京商工リサーチが保有する埼玉県内の企業データベース6万5817社のうち、メインバンクのトップは埼玉りそな銀行でシェア28・5%だった。2位の武蔵野銀行(12・0%)に倍以上の差をつける圧倒的なシェアで、引き続き県内地盤の強さを示した。3位に埼玉縣信金(9・9%)が入り、上位3つの金融機関で全体の5割のシェアを占めた。4位から6位までは3メガバンクが続き、7位の飯能信金(3・2%)まで昨年と順位変動はなかったが、川口信金が3・1%で城北信金を抜いて8位にランクアップした。川口信金は令和6年3月に創立100周年を迎え、改めて顧客からの支持を獲得しているようだ。近年、埼玉りそな銀行が緩やかにシェアを落としている一方、県内に本店を置く武蔵野銀行、埼玉縣信金、飯能信金、川口信金が連続してシェアを伸ばして徐々にその差を縮めており、地域に密着した営業や営業範囲の拡大などが奏功しているとみられる。

コロナ禍が明けて企業活動が正常化する中、本年3月に日銀はマイナス金利政策を解除し、7月に政策金利引き上げを決定した。長く続いた低金利時代が終焉(しゅうえん)を迎え、すでに一部の企業では借入金の金利上昇がはじまっている。全国の企業倒産件数は4年4月から6年7月まで28カ月連続で前年同月を上回り、6年1月から7月までの累計は5884件(前年同時期比22・5%増)と11年ぶりに年間1万件を超えるペースをたどっている。借入金の多い企業ほど収益に与える影響は大きくなるだけに、金利上昇が企業倒産の増加に拍車をかける可能性もある。

融資先の選定や貸し出し金利の見直しなど、今後の金融機関の動きが注目される一方、企業側も金融機関に貸し出し金利を競わせ、低利資金を調達する方法は曲がり角を迎えており、よりメインバンクとの関係性が重要になってくる。また、メインバンクが求められる役割が融資だけにとどまらず、事業再生やM&A、事業承継、廃業支援など多方面に広がっており、各金融機関の力量が問われる局面が増えそうだ。取り組みや対応次第ではメインバンクの変更も進む可能性がある。(佐々木博司・東京商工リサーチ埼玉支店長)