「TVer」好調、民放キー局業績下支え 4~6月期決算

AI要約

民放キー局5社の2025年3月期第1四半期(4~6月)連結決算が出そろった。TBSホールディングス(HD)は過去最高の売上高を記録し、フジ・メディアHDは減収増益、日本テレビHDは増収増益となった。TBS HDはやる気スイッチグループを連結し過去最高の売上高を達成。テレビ朝日HDはインターネット事業やショッピング事業も好調に増収増益となった。

フジ・メディアHDはTVerでの番組再生数の増加により増収増益。日本テレビHDは配信広告セールスやコンテンツ販売が好調だった。TBS HDはバレーボールネーションズリーグなどで配信広告収入が伸長し、増収に貢献した。

テレビ東京HDはアニメが好調で増収。アニメ・配信の売上高も増加したが、先行投資的な費用投下により営業利益は減益となった。中国市場や東南アジア、欧米、中東での展開を加速していく計画だ。

「TVer」好調、民放キー局業績下支え 4~6月期決算

 民放キー局5社の2025年3月期第1四半期(4~6月)連結決算が出そろった。4社が増収となり、TBSホールディングス(HD)の売上高は4~6月として過去最高の986億円を記録した。テレビ広告の減収が続く中、民放公式テレビ配信サービス「TVer」を中心とした配信広告収入は好調。TVerの月間ユーザー数(MUB)は7月に4000万、月間再生数は4.8億回を突破するなど成長を続けている。

 フジ・メディアHDは減収増益。メディア・コンテンツ事業の売上高は前年同期比3.5%減の989億円、営業利益は同155.6%増の30億円。TVerでの番組再生数の増加で大幅に収入を伸ばすなど、配信・コンテンツのビジネスが好調だった。

 日本テレビHDは、デジタル広告収入や番組キャラクターグッズなどの物品販売収入が好調で増収増益となった。TVerなどによる動画広告セールスが堅調に推移したほか、コンテンツ販売収入はドラマのグローバル配信事業者向けセールスが好調だった。

 TBS HDは、テレビの広告収入の増収や配信広告収入の伸長、好調なスタイリングライフグループの増収に加え、やる気スイッチグループを昨年6月に連結したことなどで、売上高が前年同期比4.0%増と4~6月で過去最高となった。

 配信広告収入は、「バレーボールネーションズリーグ」ライブ配信のセールスが好調だったことやドラマ・バラエティーの再生回数が好調に推移したことが増収に寄与した。

 テレビ朝日HDは、テレビ放送事業、インターネット事業、ショッピング事業がいずれも好調で増収増益。テレビ広告は、東京地区のスポット広告の出稿量が前年同期と同水準となった。TVerなどでの広告収入や動画配信プラットフォームへのコンテンツ販売も好調に推移し、デジタル広告関連収入は前年同期比35.4%増の16億9300万円と大幅に増加した。また、TVerの配信再生回数は同150.8%と大きく伸びた。

 テレビ東京HDは、放送収入の回復や、アニメが好調だったことにより増収。中核子会社であるテレビ東京の放送収入はタイム、スポットとも増収。BSテレビ東京も堅調で、地上波・BS放送事業の営業利益は前年同期の4.6倍に伸びた。

 アニメ・配信の売上高は前年同期比3.6%増で、テレビ東京単体のアニメ売上高も同9.1%増となった。将来の収益増に向けた先行投資的な費用投下により営業利益は減益。今後も中国市場に加え、東南アジアや欧米、中東でのアニメ作品の配信、商品化を加速していく計画だ。