どうして?「赤字なのに操業を継続する」企業が多いワケ【経済評論家が解説】

AI要約

経営が赤字であるにもかかわらず操業を続ける企業にはメリットがある

企業の費用には固定費と変動費があり、損益分岐点が存在する

企業の利益はわずかな売上増加で大幅に変動する

どうして?「赤字なのに操業を継続する」企業が多いワケ【経済評論家が解説】

経営が赤字であるにもかかわらず操業を続ける企業は少なくありません。早く会社をたたんだほうがいいように思えますが、実は赤字で経営を続けることにも、それなりのメリットがあるのです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

企業は、さまざまな費用を使って物(財およびサービス、以下同様)を作って売り、利益を稼ごうとしています。工場を建てる費用、労働者を雇うための賃金、材料を仕入れる費用…等々があり、人件費、物件費等に分類されることも多いのですが、本稿では費用を「固定費」と「変動費」という分類で考えてみましょう。

「固定費」というのは、客が1人も来なくても、製品が1つも売れなくてもかかる費用です。レストランの例でいうなら、客が来ないと収入がゼロですから「固定費は客が1人も来なかった場合の赤字額」と言い換えることもできる費用です。それ以外は「変動費」です。店を借りる費用、社員を雇う費用等は固定費で、材料費は変動費だといえるでしょう。

固定費が10万円、定食が1500円、1食あたりの材料費が500円だとすると、客がゼロなら10万円の赤字で、客が1人来るごとに1000円ずつ赤字が減り、客が100人来ると赤字が消え、それ以上客が来ると黒字になります。そのような人数(ここでは100人)のことを「損益分岐点」と呼びます。

企業の決算発表を聞いていると、売上が2倍になることは滅多にありませんが、利益が2倍になることは時々あります。上記の数値例でいえば、来客数が2倍になるのは大変ですが、客数が101人から102人に増えただけで利益が1,000円から2,000円に倍増するからです。

もちろん、反対に客数が102人から101人に減れば利益が半減してしまいますし、99人に減れば赤字に転落してしまいますから、店にとって嬉しいことばかりではありませんが。

ちなみに、株式投資をしている人は、企業の決算を予想して株の売り買いをする場合もあるようですが、わずかな売上高の増減で大幅な増益や減益になるわけですから、予想は容易なことではなさそうです。