ふるさと納税、総務省が楽天に反論。担当課長「ポイント競争は正当化できない」

AI要約

ふるさと納税のポイント廃止について総務省と楽天の対立が続いている。

ポイント競争が趣旨から逸脱していることや、ポイント制度の問題点について検証されている。

楽天側の主張と総務省の見解について、それぞれの視点を整理している。

ふるさと納税、総務省が楽天に反論。担当課長「ポイント競争は正当化できない」

ふるさと納税が揺れている。

発端は総務省がふるさと納税の寄付者に対し、特典ポイントの付与を禁止する方針を発表したこと。

業界大手の「楽天ふるさと納税」を運営する楽天が、ポイント廃止に強く反発し、反対署名を集める活動を展開。楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が、Xアカウントで「憤りを感じる」と投稿したほか、楽天は「185万人の反対署名が集まった」として記者会見を開くなど徹底抗戦している。

総務省はポイント廃止を円滑に進めるため、廃止の時期について来年2025年10月からと調整していたものの、予想外の猛反発を受けた形だ。

総務省は、なぜ今回のポイント廃止がここまで反発を招いたのか? また寄付金が一部の自治体に集中するなど、制度そのもののひずみについてどう考えているのか?

総務省市町村税課長・水野敦志氏に、その見解を聞いた。

※ふるさと納税ポイント廃止…総務省が2024年6月28日に発表。ふるさと納税ポータルサイトなどによるポイント競争の過熱を受けて、2025年10月から「寄附者を集めるための手段としてポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて寄附を募集することを禁止する」とした。

──楽天などのふるさと納税ポータルサイトが、ポイントを付与する問題点はどこにあるのか。

水野氏:ふるさと納税という制度は、2007年に始まった制度で、制度の目的は「ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、もしくは応援する気持ちを伝え、または税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とするもの」。

ふるさと納税の本質的な効果は、税金の帰属先を応援したい自治体に移転させることにあり、そのために税制という公的な仕組みの下、公金を使うことが正当化されている。

つまりポイント獲得や返礼品を目的にして寄付することは、本来の趣旨とは違います。

ふるさと納税を、企業のネット通販と一緒に捉えてしまうと、税制という公的な仕組みの下、そこに公金を入れる理由は失われる。現状では仲介サイトによるポイント競争が過熱してしまい、ポイント目的の寄付が、これからどんどん多くなっていく恐れがある。

──楽天側は「ポイントはプラットフォームが負担しており問題ない」と主張しています。この主張をどう受け止めているか。

水野氏:確かにポイントは自社で負担しているかもしれませんが、そもそも自社サービスの事業コストを自社で負担するのは当たり前とも言える。

楽天の事業として成立しているのであれば、ふるさと納税の手数料による収入なのか、自社サイトへの集客効果なのかは私達にはわかりませんが、事業コストよりもメリットがあるために、この事業を続けているのだと理解している。

そう考えると、楽天に限らず、ポイントの財源が自社負担だからと言って、制度の趣旨を損なうようなポイント制度が正当化されるとは言えないと思います。