NISAとiDeCoは結局どちらを優先すべき? ファイナンシャルプランナーが出した結論は

AI要約

8月の「世界同時株安」と「日本株大暴落」は、改めて資産運用の難しさを浮き彫りにした。

株価の連鎖安から逃れることはできず、基準価額は一時大きく値下がり。

風呂内亜矢さんによるNISAとiDeCoの比較や注意点も紹介されている。

老後資金の形成にはNISAの方が柔軟性があり、iDeCoは主に節税効果を享受できる点がメリット。

一方でiDeCoには定期預金も選択可能で、節税効果だけを享受する戦略も。

投資と節税効果のバランスを考えた運用が重要とされる。

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NISAとiDeCoは結局どちらを優先すべき? ファイナンシャルプランナーが出した結論は

 8月の「世界同時株安」と「日本株大暴落」は、改めて資産運用の難しさを浮き彫りにした。長期で運用すれば「安定したリターンを実現しやすい」とされるインデックス型の投資信託も、株価の連鎖安からは逃れることはできず、基準価額は一時大きく値下がり。年初から人気商品の“オルカン”(全世界株式)などで積み立てを継続してきた人の中にも「一時、含み益がゼロ、そして含み損へ」という例も見られた。

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 もちろん冷静に考えれば、「老後に向けた資産形成」が目的の場合、今回のような暴落は「平均取得単価を抑える」好機と捉えることもできる。

 ただ、特にiDeCo(個人型確定拠出年金)の場合、拠出額や商品の変更がNISAほどには柔軟にできない。今回のような暴落が、いよいよ60歳となり引きだそうとした時に起こったら……と不安になった人も多かったのではないか。

 そこで、改めてNISAと比べた際、iDeCoのメリットが最大化される条件や注意点について、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに解説してもらった。

※記事の一部は風呂内さんの新刊書籍『NISA・iDeCoは7日間でわかります』(Gakken)を参考にしています。

「NISAとiDeCoの最も大きな違いは“つまみ食い”ができるかどうかです。NISAの場合、出産や教育費などまとまったお金が必要な場面で、積み立てた投資信託の一部を売却して引き出すことが可能です。一方のiDeCoは老後資金のための制度ですので、原則60歳までは引き出しができません。ただ、商品の変更はできるため、引き出しを考える年齢が近づいてきたら徐々に債券や定期預金などに変更していくことで今回のような暴落の影響を緩和できる可能性はあります」(風呂内さん)

 老後まで待たずに使う可能性がある予算であれば、対応しやすいのはNISAということか。

「そうですね。そのため、基本的には“NISA優先”をおすすめしています。最大で元本1800万円までの運用が可能で、全ての人が埋められる金額ではありません。老後資金の形成もNISA一本で十分、という考え方もあると思います」(同)

 ただ、iDeCoにはNISAが持ち合わせていないメリットも存在する。

「iDeCoに拠出したお金は、そのまま“年間所得が減った”と見なして計算(所得控除)できるため、現役世代が節税効果を得ることができます。例えば年収450万円の独身・会社員の場合、課税対象の所得は給与所得控除や基礎控除などを加味すると223万円程度になりますが、毎月2万円iDeCoに拠出すれば、さらに課税対象の所得が年間で24万円少なくなることに」(同)

 またiDeCoの場合、NISAとは違い定期預金も選択が可能。投資によるリスクとリターンは考えず、節税効果だけを享受するという戦略を取ることもできる。